2--1.体育祭
初夏の陽射しが眩しい中、青空が広がる絶好の天気。
今日は高校生になって2回目の体育祭。
「あ、見てみてさくら!幸太郎君100M走走るみたい」
幸乃がそう言って私の肩を掴む。
振り向くと次の走者として順番待ちをしている。
「....さっき玉入れもしてなかった?」
「してたしてた!男子と玉ぶつけ合いしててあれはもう玉入れじゃなくて玉合戦だね!」
「ふっ何それ」
クスクス笑ってると【パアンッ】とピストルの音が聞こえた。
ハッとして顔をあげるとーーー
「うわ、速...」
幸乃が横で目を丸くして口に手を当てる。
他の走者を置いてけぼりにする様に1番にテープを切ったのはコウだった。
イエーイッ!とおどけて見せているコウを眺めていると、バチッと目線が合った。
こちらの視線に気付くと1位の旗を上げてVサインを作って笑顔を寄越した。
私は可愛いげなく肩を竦めてみせて幸乃の手をとって校舎に向かった。
「え?さくら?」
「.....トイレ。」
「あぁ、はいはい、連れションね」
「連れション言うな」
呆れ顔を向けると幸乃ははいはい、と手をプラプラさせた。
チラ、と後ろを見れば、近くの男子と楽しそうに笑うコウが見えた。
(どうして素直になれないかな...)
はぁ、と幸乃に気付かれない様に小さく溜息をついた。