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「....そういやクラスの田中に誘われてたな。出場競技数増えるからまだ返事してなかった。」
考えてからそんな返事をすると、さくらが顔をしかめて行くのが見てとれた。
「え。何。何でそんな顔すんの。」
「.....別に。用なくなった。じゃあね。」
「待て待て待て。」
フイッと顔も体も向きをかえられ、去ろうとする腕を掴む。肩はさっき振り払われたから、なんだけど。
「何よ」
ムス、とした顔を向けられる。
「お前、俺と二人三脚出たいの?」
思った事をそのまま話すと、顔を真っ赤にしたさくらが更に眉間にシワを寄せる。
え。なんでそこで赤くなる。
なんでそこで更に不機嫌になる。
「田中とお前なら、俺お前とがいい。」
「――!?」
眉間にあったシワがなくなり、びっくりした顔がそこにある。
口をパクパク言わせる顔がまた可愛く見える。
俺も重症だな。
「あれ?二人三脚の誘いじゃないのか?」
返事がない事に不安を覚え、疑問をなげかける。
さくらはまた眉間にシワを作るが、今度は怒ってはいない様だ。
少し困った様な顔をして、目を反らす。
「べっ...つに...なんか参加しなきゃ体育の単位がとれないとか言うから、気が合う奴と二人三脚なら...と思っただけで...コウじゃないといけない、てわけじゃ....」
ボソボソ、と呟くさくらを不思議に思いながら、ポカン、と見つめる。
「俺でもいいなら、俺と組もう?」
下を向くさくらの顔色を伺う為、体を傾けて顔を覗きこむ。
「わ!わかったから!よろしく!」
それに対しさくらは目を丸くしてバタバタと去って行った。
「何...だよ?」
頭にはてなマークが飛び散る。