9--1.さくらの秘密のアルバイト
「はい、じゃあ口紅を口の近くに持ってきて撮るよー」
カシャカシャカシャカシャッ
「橘さんその無表情も素敵だけどちょっと流し目でこっち振り向いてー」
カシャカシャカシャッ
「口元だけ笑ったりしてみちゃってー」
カシャカシャカシャカシャッ
「いーよいーよーっぞくぞくするっ」
(........変態?)
「おっいーねぇっ不機嫌そうな顔もくるねーっ」
(.............もう何も言うまい。)
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「さくら、お疲れ~。めちゃくちゃ綺麗だったぞぅ。」
一人での撮影が終わると、いつの間に来てたのか叔父さんが偉そうに椅子に座っていた。
スポンサーって言ってしまえば客でしょう?
社長の様にふんぞりかえるのはどうかと思う。
あ、社長か。
「叔父さんの馬鹿。」
「!?っなんで!?」
「男のモデルと絡むなんて聞いてない。」
「うん俺も聞いてない。」
「ーーーーは?」
「俺がさくらに男絡ませたいとか思う訳ないじゃん。さくらの魅力を最大限によろしくって言ったらこうなってた。」
ははは~と笑う叔父さんを殴りたくなった。
お母さんの弟のこの人は、今回の撮影の元の化粧品会社の社長。
32歳とまだ若いが、社長のお爺ちゃんが早くに会長になったから跡目を継がせたチャランポラン社長だ。
でもセンスがいいのかチャランポランでも何かと話題の販売促進を展開する今注目の社長らしい。
らしいってのは本人が私に力説するだけだからよくわからない。
はっきり言ってどうでもいい。