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始業式以来、さくらとは今までもそうしてきたかの様にたわいない事を話し、馬鹿にして、馬鹿にされ、一緒に帰る日もあれば一緒に買い物に出掛けたりもする様になった。
出会って二ヶ月。
これこそ馬が合う、と言うのだろう。
綺麗すぎる顔のさくらについつい見とれてしまうのは自分だけではない、当然の事だと納得させ、中身が気にいっているから一緒にいたくなるのは仕方がない。
さくらに惹かれる心は、日を追うごとに増して行く。
先程言われた「私が話しかけて気づかないとかコウのくせにムカつく」というのも、まるで自分のものの様に言い捨てる言い方に心躍る。
「で、どうした?」
「ん....」
チロ、と上目遣いをされてドキリとする。
いや、165cmの身長の(ミスコンデータより拝借)さくらより、10cm弱高い自分を見るには上目遣いになるのは自然な事なのだか、不意にされるとなんと言うか....心臓がキリキリなる。
「ん?」
心臓の音はとりあえず気にしない事にして聞き返す。
「体育祭、近いでしょ?」
「あ?...あぁ、来週土曜だな。」
「二人三脚、もう誰かと予定ある?」
「は?二人三脚?」
思わず聞き返す。
二人三脚...そういえばそんな競技もあったっけ。
確か今週始め、クラスの女子数名が俺のとこに来て、何に出る予定なのかを聞かれ、よかったら二人三脚を一緒に出てくれないかとそのうち一人に言われた様な....。