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「そかな。本当はまだ早くに来たかったけど。さくら朝弱そうだから。起こされるの、嫌だろ?」
俺がそう言うと、さくらは目を見開いた。
何を驚く事があるんだろう。
「....お見通しでなんか悔しい。」
「あ、やっぱ朝弱いんだ?」
クスクス笑うと、さくらは顔をしかめる。
いじけた顔だ。可愛い。
「お母さんは?買い物?」
「え?あぁ...今日は友達とお茶するって...。多分夕方まで帰ってこない。」
「あれ?おばあちゃんは?」
「明後日来る予定。」
「そっか。」
やたらとシンとしてるのはさくらだけだからか。と納得して、ジュースをゴクゴク飲む。
はた、と体が停止した。
「え。あれ。お、お父さんは?」
「は?仕事よ。学生は夏休みでも、大人は仕事。当たり前でしょ。」
バカね、なんてフワッと笑うさくらに心奪われ―――――――じゃない。
非常にマズイ。
これって、もしかしなくても、ふ、二人っきりと言うやつでは。
「どうしたの?」
小首をかしげて、可愛らしく、そりゃもう可愛らしく、さくらが聞いてくる。
慌てて俺は鞄を手繰り寄せた。
「嫌!なんでも!あ、あのさ、俺、これ持って来た!」
そう言って出したのは夏休みの課題の山。
それを見たさくらはびっくりした顔をする。
そりゃそうだ。夏休み初日から遊びに来たと思ってた俺が、課題なんて出して来たんだから。