--7
「橘、今月末の撮影、来るんだって?」
「は?」
「は?って...今話題の...化粧品のモデル」
「.....なんで知ってるの。」
ジロリ、と睨むと、ピクリ、と加賀亘は顔を引き攣らせる。
そう。夏休みのバイトは叔父さんが経営する大手化粧品会社のモデル。
ポスターに私をどうしても起用したいって、もう耳にタコができる程お願いされて、一回こっきり、高額のバイト代を条件にのんだ。CMに出てくれればもーっといっぱい払うよ?とか言われたけど、そこまでは目立ちすぎて無理。
親にしか話してない事を、まだ撮影もしていないのに何故こいつが知ってる。
「な、なんで知ってるかって!?俺もその撮影、参加するんだ!相手役の子の写真、昨日見たら橘だったからびっくりして。」
口に出してないのに割と的確に読み取る加賀亘。
私そんなに顔に出てるかな。
「聞いてない。一人じゃないの?」
「一人のも撮るし、男性モデルと二人のも...あ、俺だけど。あと、俺のパターンもあるみたい」
「あのオヤジ....シメてやる。断ってやる。」
「ええっ!?だ、駄目だ撮影近いのに!無理だし!スポンサーからクレームが....」
「そのスポンサーに頼まれたからやるのよ。でもそんなの聞いてない。私は素人なのよ。知らない相手と撮られるなんてゴメンだわ」
「そんな事言っても仕事だし.....」
「.....そうね。私も細かく聞かなかったしね。ドタキャンは流石に駄目か...」
私がそう結論づけると、加賀亘は心底ほっとした様に笑った。
結局加賀亘とは撮影の日時場所なんかを確認して別れた。
仕事の話しだけで誘ったのかな?
なんとなく腑に落ちないまま帰宅した。




