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終業式は相変わらず校長の話しが長くて、規律を大切にだの、羽目を外すなだの、もっともらしいが退屈な事を延々と話している。
眠くなってきちゃったかも....と、右に視線を送る。
出席番号順に並んだ席だと、コウは私より五つ離れた席になる。
もしかして寝てるかも、と思ったら案の定。
黒髪をさらさらなびかせて、舟をこいでいる。
何度目かでハッと目を開けて、またトロンとした目を擦って、何を思ったかこちらに顔を向けた。
バチリ、と目が合うと、コウはヘニャラと笑って小さく手を振って来た。
(ばぁか)と口だけ動かしてみせて、前を向く。
気づいてくれて本当は嬉しいくせに。
寝起きの顔が可愛いと思ったくせに。
私はまた可愛いげない態度をとった。
どうしていつでも素直に、という訳にいかないんだろう。
このままじゃ呆れられるんじゃないだろうか。
ふとそんな事を思った。
海や山、花火大会に遊園地。
まだ決定じゃないコウと行く予定の日。
もうちょっと素直になってみようか。
もうちょっと可愛いげのある自分でいたい。
私の頭はコウでいっぱい。
コウの頭にも、私でいっぱいにしたい。
その為にもこのままじゃ駄目だ。
そんな事を考えてるうちに、校長の話しが終わり終業式も終わった。