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「部活、してる?」
「んや。お前は?」
「帰宅部ー」
「あぁ.....、俺もそれだ。てゆうかそれ、部員数にしてみれば校内で1番多いんじゃないか」
思わず苦笑する。
「ふふ。でしょ?だからいいのよ。埋もれて、目立たない。」
「目立ちたくないのか?」
「ん?目立たないのは無理かもね。なんせこの容姿だから」
ふふん、と言って髪をわざとらしくかきあげる彼女を見て、噴き出す。
「確かにそうかもしれないけど、お、おまえ...っ、ははっ!その顔でその発言かよ。もったいねぇ」
「....あなたは正直ね。不快にならないのが不思議。」
「で?目立つのは仕方ないけど、本当は目立ちたくないのか?」
「うー...んん...。目立つのは嫌いでもないけど、時々めんどくさくなる。顔だけ、評判だけで近付いて来る輩が多いもの。」
ふう、と溜息をつく姿さえ綺麗に見えて、溜息の原因を自分にも指摘されてるようで、罪悪感がつのる。
「ごめん、俺もお前の事、綺麗だと思ってる。仕種ひとつとっても、全部、綺麗だと思う。中身はまだ完全にはわかんないけど、面白い奴だと思う。今日初めてお前と会った俺がこう思うんだから、そう思わないやつなんて、いないよ、きっと」
正直に言った。
顔を赤く染めた彼女がびっくりした様な、困った様な顔をしていた。
「....それ、口説き文句なわけ?」
真っ赤な顔のまま、弱々しく彼女が呟くから、笑ってしまった。
「そうかもな」