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「な、なに」
「.....」
無言でさくらはタオルを見つめる。
「コウは?」
「え?」
「コウが使うタオルでしょ?」
「もう一枚あるから」
「....本当?」
「うん。昨日体育館に忘れて帰ったみたいでさ。佐藤せんせいが洗って来てくれてたんだ。やっさしーよなー」
「......ふぅん」
ピキッとさくらの頭から音が聞こえた気がした。
え。なんでそこで怒る。
「....これはどっち。」
「え?」
言ってる意味がわからなくてさくらの顔を見ようとしても、俯いてて顔が見れない。
「これは今日持って来たタオルなの?佐藤先生が洗ってくれたタオルなの?」
「え?持って来たタオル....」
「こっちじゃない方貸して」
俯いたまま話すさくらに疑問を持ちつつ、またバックのあるところに戻りもう一つのタオルと交換する。
さくらはありがと、とだけ言って交換したタオルを広げて顔と髪を拭く。
「.....俺のが汚い?」
「...は?」
意味がわからない、と言う顔をして頭にタオルを被せたままさくらが俺を見る。
「俺の物でも。洗ってある物でも、汚く思う?」
そうなら軽くショック。
明日から清潔を売りに香水でもつけようか。