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6.侯爵令嬢は知らない
*残酷なあり
(カニバリズム)
★短いので本日はこの後にもう1話更新します。
男は生まれた時から世界に嫌われていた。
「なんで生まれてきたのよ!?」
母からは罵られ
「こんなものは私の子ではない。殺せ!」
父からは殺されかけ
「お前は国の管理下に置かれる。」
保護しに来た者には首輪をつけられた。
男はそれでも生きていた。
死ぬこともかなわず、殺されることもできず。
生きる意味など分からず、何をするべきなのかもわからず。
ただただ、されるがまま、いわれるがままに生きてきた。
ある日、男は気が付いた。
自分の魔力の巨大さに。
ある日、男は気が付いた。
他人を意のままに操れる術に。
ある日、男は気が付いた。
自分の中にある怒りに。
ある日、男は行動した。
新しい自分に生まれ変わるために。
何も恐れず、誰にも傅かず、自分の思うままに、どん欲に。
そして、男は生まれ変わった。
誰よりも気高く、誰よりも狡猾に。
そして、男は食した。
自分が殺した「蔑み」の血肉を。
そして、男は欲した。
「自分だけの国」を。
そして、男は立ち上がった。
闇から、闇へ。自分の欲に忠実に、新たなる闇を生み出して…。