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ギャルJKは乙女ゲームに出会う(後編)

 アタシの名前は黒百合 凛々花☆

 16歳で高校1年!オシャレだいしゅき♥

 皆からめっちゃギャルって言われる!


 今日は元カレの本音を聞いちゃって、え?まじサイアク?てかありえないんだけど…ヤバ…

 何なんあいつホント無いわ…何であんなのに惚れてたのサイアクサイアク…

 は??ホント無理なんだけど??まじ無いわアイツ爆発しろ…



 凛々花は彼の衝撃的な言葉を聞いて、怒りと悲しみで頭の中がぐるぐるとなりながらも自宅までの道のりを歩いた。

 道すがら泣きに泣いて、今朝がんばって盛ったメイクも今や無残な状態になっている。


「今日金曜日でよかったな…」


 明日にはきっと目も腫れて、顔面偏差値は酷い事になっているだろう。

 精神的にも外見的にも暫く誰にも会いたく無かった。

 はやく自宅に籠もって、今日はお風呂に入って寝てしまいたかったのに。


「は…?カギが無いんですケド…??」


 自宅玄関前で慌てて鞄を漁るも鍵が見当たらない。

 今日は両親共に出かけていて、帰宅するのは明日。

 最悪のタイミングに自宅に入る事が出来ない。


「なんなの…ホント最悪…」


 思わず玄関前で泣き崩れてしまう。

 そんな時、


「りり…?どうしたの…??」


 隣の家に住む幼馴染、佐藤 彩が声をかけてきた。


「あや…!!うぁぁあん!!たすけて!!」


 凛々花は今日は彩の家に泊まる事になった。



 佐藤さとう あやは凛々花の幼稚園時代からの旧友である。

 名前も外見も派手な凛々花とは逆に、そこら辺によくいる感じのフルネームに、中肉中背で黒髪ストレート、メイクはしない、少し地味な印象の少女だ。


 正反対とも思える彼女達だが、明るく活発だが少し抜けた所のある凛々花と、しっかり者だが消極的な面のある彩、お互いに無い部分を尊敬し、補い合う良い親友関係を続けていた。


「で…どうしたのよりりさんよ…?びっくりしたよ、隣の家の前で化粧ドロドロパンダ状態のギャルがガチ泣きしてるから…」


 彩の自宅で風呂を借り、慣れた幼馴染の自室で暖かいココアを貰ってくつろぎ、落ち着きを取り戻してきた凛々花に、そろそろ聞いても大丈夫だろうと彩が問いかける。


「パンダ言うなし!…彩なら話してもいいかな…」


 凛々花は彩に今日あった事を洗いざらい話した。

 話している間に再び涙が溢れてくる。


「なにそれ!?あの先輩そんなやつだったの??それは泣くわ…」


 幼馴染の心境を想像して、彩は胸を痛めた。


「りりがギャルなのは仕方ない。それがりりなんだから。先輩も嫌なら初めからそう言って付き合わなきゃいい訳で。りりが気にすることはない!」


 幼い頃から凛々花を見てきた彩は、凛々花がどれだけギャルのメイクやファッションを大事にして、それに対して努力して来たかを知っている。

 その先輩が清楚系が好きなだけで、凛々花の様なタイプの女子が好きな人だって普通にいるだろう。


「でもアタシが先輩の気持ちも考えないで激押ししたから…恥ずかしい…もう怖くて恋愛出来ない…」


 三度のメシよりオシャレとイケメン、恋愛が好きな凛々花から信じられない言葉が出て、彩は耳を疑った。

 いつも明るく積極的な所が魅力の彼女が、小さく消極的な言葉を出す、相当な傷心ぶりに思わず狼狽えてしまう。


「え??じゃ、じゃあ現実の男が無理なら…ほら!ちょうどテレビにジョニーズのりりが好きなアイドルがでてるよ!!」


 慌ててテレビを指差すも


「先輩ジョニーズ顔だったからしばらくアイドルも無理…もうダメかも…」


 凛々花らしくない言葉に彩は心配になり、とっさに手元の漫画本やゲームのパッケージを手に取った。


「じゃ、じゃあ二次元のイケメンとかどう??」


 これが黒百合 凛々花16歳、運命の乙女ゲームと出会った瞬間であった。

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