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ギャルJKは乙女ゲームに出会う(前編)

 黒百合 凛々花 (くろゆり りりか)の朝は早い。


 なぜなら彼女はバチクソのギャルだからである。

 ギャルの命はメイクと髪型。その日の早起きによりカワイイは作られると凛々花は信じている。


 え…?芸名…?と聞かれる事もある派手な名前に負けじと、凛々花はファッションもメイクも派手好きだ。

 キラキラのアイシャドウ、ハッキリしたアイライン、こってり鮮やかなリップ、マツエク…はお小遣いが足りないので今はツケマをヘビロテで…。

 ベースもしっかり塗って、ハイライトやシャドーも忘れません。

 髪も巻きます、コテで火傷なんてもうしない、ヘアセットもすっかり慣れた物だ。


 ギャルなんて古い、今どきのモテる女子は黒髪ナチュラル(に見える)メイクだと大衆が笑ったとしても、凛々花は己の信じるカワイイを貫き通す所存だ。

 そう、誰が笑ったとしても、貶したとしても…



 先日、凛々花は高校に入って初めて出来た彼氏にフラれた。


 高校に入学してすぐに一目惚れをして猛アタックをした一学年上のイケメンな先輩。

 アイドルの様な容貌で、中学にはこんな人いなかった!!しゅき!!…夢中だった。

 しかし付き合い始めてたった1ヶ月で、彼から別れを告げられた。


「ごめんね凛々花ちゃん、俺、好きな子が出来たんだ…」


 凛々花は泣いて縋ったが彼の意志は強かった。


 一週間位メソメソと落ち込んだが、段々と次行こ!次!と思える様になった頃、凛々花は放課後に偶然、彼と彼の友人達がたむろする校舎裏自販機前を通りかかってしまった。

 フラれた手前、彼に遭遇してしまうのは流石に気まずい。

 凛々花はとっさに物陰に隠れたが、彼らは楽しげに会話をし続け、その場から去る気配が無い。

 どうやってこの場から逃れるか思案していると


「お前あのギャルと別れたんだって〜?」


 …明らかに自分の話が出てきて、思わず耳を欹ててしまう。


「ああ、もう知ってるの?」


 苦笑いしながら答える彼の声にさらに注意が向く。


「だってはじめから嫌々付き合ってたもんねw清楚系が大好きな癖に酷いヤツww」


 …なんですと?????

 爆笑しながら話す彼の友人の言葉に耳を疑う。


「だってすごく熱心にアプローチしてくるんだよ…なんか可愛そうになっちゃって…」


 え???何それ…??なにそれ…

 予期せぬ出来事に頭が混乱し、鼓動が速くなる。


「でもやっぱさぁ…ギャルって時代遅れじゃね?近くにいると厚化粧がすごくてさ…」


 ????????

 頭が真っ白になった。


「派手系は無理だわ…時代はやっぱりナチュラルな清楚系だよね…」


 彼の知りたく無かった本音を知り、凛々花は激怒した。

 頬が熱くなり、悔しさと情けなさで涙が溢れてくる。

 派手系は無理??時代はナチュラルな清楚系??


 …子供の頃から何故だが魅力的に思うのは華美なものばかりだった。

 スミレの花よりは大輪のバラ、白いシンプルなワンピースより、鮮やかな色のフリルのドレス。

 誰かどう言おうとそれが凛々花で、好きなものは好きで、どうしようもなかった。


「「なんで???そんなアタシ(わたくし)じゃだめだって言うの??」」


 …ふいに自分の思いと重なって、誰かの声が聞こえた気がした。

 不思議な既視感を感じてよろめき、躓きそうになる。


「なに…今の…?」


 その日は傷心のままフラフラとした足取りで帰路についた。


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