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日常系もカオスになれる説!  作者: めっち
5/9

ちゃぷたーつー

 森林小路(フォレストロード)入口。


 木漏れ日で、多種多様な草花の生い茂る地面が、わりと暖かく、明るく見えた。


 実は、村長が言っていたオーブドラは、家からすこしでたところからすぐ見えたのだ。確かに、まるい、大きな、なにかだった。だが見ても見ても動いていないはずで、もう死んでしまっているんじゃないか、なんて歩きながら二人で考えていた。


「あれ……みたいだね」


「……」


 立ち尽くす、二人。


 小道の、少し高く盛り上がったところに。


 伝説と言うにはすこし程遠いような気がするが、不思議な物体が置かれていた。


 古びた機械類を緻密に組み合わせたような、巨大な美しい球体。その一部分がかけていて、光がその中に差し込んで、中が中空だと知らせる。


「これがウィートラ村長さん?が言っていた、オーブドラ?ではなさそうよね……?さすがにイメージと違いすぎて」


 こまちがボソッと、わたしの耳元で呟いた。


 いやわたしに聞くなよ……。


 確かに、イメージと違う。死骸でも、せめてこう、威厳っぽいものは残りそうなのだが。


「ごめんね、わたしが変なことを信じてしまって、コマチまで巻き込んじゃった。さ、家に帰ろ」


「勘違いではないぜ、お嬢ちゃん達」


 突然の声に、二人が振り返る。機械球の後ろからした。十五、六歳くらいの男子の声だ。


「よっと。危ねぇあぶねぇ。危うくオレまで死ぬとこだったわ……おい、とほ、お前も上がってこいよ、いい眺めだぜ案外」


「あなたたちは……」


「ん、自己紹介ん前に、まぁ、前置きってことで言っとくが、こんな形したやつをオーブドラっつうの?は、オレはゲーム内でしか知らねぇけどさ、オーブドラみたいなボスキャラなら……」


 自分と、もう一人の少年を指して、


「────ここにいるぜ?」


 と大胆にボス宣言をかました。


 この人達…いったいなんなの……?


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆✖◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「ごめんなさい、変な勘違いをしちゃって。」


「ん、大丈夫大丈夫。オレの技が伝説に見えてくれたのならそれだけで大感謝だぜ……ま、オレも、コイツも『使()()()()()』んだがな」


「使い切った、とは…?ところで、お二人は…」


 わたしが話に割り込んで訊くと、左側の前髪を一束だけ長く伸ばした少年(声をかけてきた方)が、


「オレは季白(きじろ)りくだ。廃れた街での戦闘を凌ぐ日々を過ごすはずだったんだが……ある日コイツ、杜浦(もりうら)()()と死闘を繰り返していたら、なんかねぇ───」


 そういいながら、やれやれ、という顔をして、もう一人の同い年くらいの子に目をやった。


 リクは、どこかの怪しい道場にでも入っていそうな道着を着ていて、言っていた通り死線を超えて来たばかりのような(実際そうなのだろう)汚れとちぎれ具合だ。


 体のあちこちに見えるアザや切り傷が痛々しい。


 もう一人の方はクセのないさらっとした金髪で、頭のてっぺんに尖ったクリスタル(飾り?)が「生えていた」。


 怪我の具合はリクと似ているが、死闘の割には案外汚れていない白Tシャツと短パンという服装だ。ところどころにちぎれた布がこびりついているが……


 どんな戦いだったんだろ。


「ボクを見ないでよ。さきに鎖城(フォーリン)を使って閉じ込めて来たのは、おまいだろう……」


「……!?なんでその技を知って…ってかお前中にそれ着てたんだ!」


「魔力源だからね。あ、先程はすみません、『うちの()』がお騒がせしました。ボクはトホ。リクくんも説明してくれてたけど、ずっと魔術で戦闘してました。ですが、ある日彼と戦ってたら、なんか───」


 いや何故そこで説明を止める。


 それからわたしを見つめるな。


 二人とも精神やられてるんじゃないのかな……。戦闘しすぎて。


「結局何があったのよっ」


 我慢できなくなったこまちが突っ込む。


「……それで、なんかいきなりここに飛ばされたってわけね。」


 わたしは二人の話をまとめた。


「ん、そうだなあ、簡単にいえばそんなもんかな。あやちゃんの言う通りだ」


「いきなりって……それ、あたしも!!やっぱり何かあったのかな…?」


 わたしは一瞬、足を止めてしまった。


 どうしよう。このままみんながあれこれ考えてしまうと、すぐにバレてしまう。…「あれ」がバレちゃったら、きっと嫌われてしまう。


「どうしたの?」


 ドキドキする胸を抑えながら、何も無かったように、


「ん、なんでもない…とりあえず帰ろ。リク、トホ君、二人もついてきて」





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