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日常系もカオスになれる説!  作者: めっち
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プロローグーPart1

ぜひ読んでくだしゃい!!

 プロローグーPart1ー魔術戦闘系


 旋舞するように、烈炎が煌めく。


 黒煙が無数に神鳴る空へ吸い込まれる。


 跡形もなく消滅した市街地のセンターらしき場所。


「思った以上に、おまい、ヌルいな。」


 布切れを縫い合わせた、引きずるほど長いコートのフードで、蒼白な顔と黒目を隠す少年。年齢は十五六、と言ったところだろうか。


「そっちも、本気ではないんだろ?…」


 冷淡な口調で笑っているのを見て、バカにされたと思ったのか、もう一人の礼服少年━━━━━恐らく先程の子と同い年くらいであろう━━━━が笑い返し、右手の人差し指からにじみ出る白い光を溜めた。


 それから。


「…白皚(はくがい)魔術、“静夜思フロスト・ムーン”ッッ!」


 どっと、四方八方に槍のような光芒と氷柱を放出する。狙いは、勿論前方の一人の敵だ。


「ッ…めんどくさい技を…四季障壁、“春望(ブロッサムロック)”!!」


 応対して、全身の布切れから映し出される魔法陣を球形に張る。


「チャンス」


 水晶装飾の純白衣装が回転し、銀色に赫く短髪が舞うと共に、体ごと前方に飛行した。刻む軌道に機械の塔のようなものが大量に建つ。


 目の前にいるこいつ、トホ、は障壁使いのプロだ。


 オレ、リクは、操縦系攻撃メインだ。


 力量はほぼ一緒のはず。


 この戦いのためだけに、オレは五六年の絶えない苦行を続けたのだ。これでもし負けでもしたら。あるいは、トホの野郎に手でも抜かれて逃げられたら。


 自刎したとしても悔いが残るっっ!!!


 “春望(ブロッサムロック)”が来た瞬間、オレは自分の勝利が見えた。


 完全なる、防御技。


 そして、オレの攻撃と相殺すれば……


 球形障壁に霜の槍が刺さり、ひび割れる。そのひびは徐々に拡大していった。


「オレの勝ちだ……冷徹魔法、白帝城(アダマス・エンプレス)ッッ!!」


「……!?」


 ついに出来たシールドの隙間に水銀のような液体がどっと流れ込み、それごと地を揺らす轟音と疾風に巻き上げられた。


 それから空中で。


「……終わりだ。“鎖城(フォーリン)”」


 ほぼ、無声だった。


 膨らんで、赤く淀み始めた宙に浮く、機械の塊。


 静寂。


 つむじ風。


「やっと……終わった」


 もう誰も地平線から消えた大地に、立ち尽くす白服の少年。


 こう終わってみると、何かが足りないように感じる。


 恨みは晴らしたはずだ。


 友人の恨みは、晴らしたはずだ。


 長年追いかけてきたあいつはもう、討伐したはずだ。


 なのに。


「……何かが、足りない…」


 まあ、思い出せないくらい、どうでもいいことなんだろうけど。


 そう思って、機械の塊に背を向けた。


 一歩、踏み出してみる。


 ━━━━━━━━━ギィィィィィ……


 咄嗟に振り返る。


 この耳に刺さる音。


 まさか……生きていたのか!?


 それはそうだ。こんな簡単に、あいつがやられる訳は無い。オレの考えが甘かったのだ。


 ……いや、待てよ。


「……なんだ、これは」


 ふと、視界に何かが映った。


 ちょうど、自分とトホの間に落ちていた。


「ノート……?」








 オレは、それを拾った。


 そして、そこで意識がプツッと切れた。


 最初はあいつの罠にでもはまったのかと思ったが、おそらく違うんだ、と思い直した。


 再びオレが目を覚ました時には……


 鉄に囚われたままのトホが、悔しくもそばに転がっていた(なんで破砕しないんだよ)。というか、オレがそいつに寄りかかって座っていた。


 しかも、魔術が全くと言っていいほど使えなくなっていた。


 そして。


 あの戦いの魔法世界では考えられないほど綺麗に並んだ街並みが少し遠くに見える。


 鳥の鳴き声と、そよ風が身を包む。


 そう……


 オレの「カオスすぎる」日常生活が、始まっていたのだ。












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