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乙女ゲームには当てはまらない~私には誰も選べないから~  作者: 来留美
第一章~私には誰も選べません~
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第五・王子様の尋夜くん

私のボディーガード達は今日も元気に騒いでいます。


「さゆら。誰にするか決めたか?」

成夜(せいや)くんは誰がいいと思う?」

「俺以外かな?」

「どうして?」

「俺はもう、この定めから解放されたいから」

「解放?」

「選ばれなければ俺の力はなくなるんだ。そして海道(かいどう)家の人間じゃなくなるから」

「えっ!」

「言ってなかった?」

「聞いてないよ」

「俺は選ばれたくないけど他のやつらは知らない」

成夜(せいや)くんみたいな考えかたもあるよね。みんなに聞かなきゃ」


私はまた最初の日のように後ろから視線を感じて振り向く。

尋夜(ひろや)くんが驚いて急いで本に目を向けた。


「ねえ、尋夜(ひろや)くんは一人に選ばれたい?」

「俺はどっちでもいい」

「どっちでもいいが一番困るよ」

「俺の力は成夜(せいや)と同じで見るだけで攻撃なんて何もできないから、なくなっても何も問題ないし」

「それなら力が手に入ったら嬉しい?」

「嬉しい?」

「自分にない力が手に入るのは、今までできなかったことができるようになるんだよ? 嬉しいでしょ?」

「分からない」


尋夜(ひろや)くんはそう言って私に向けていた視線を自分の机の上にある本に向けた。

もう、話したくないという尋夜(ひろや)くんの行動。

私はその後、何も聞けなかった。

でも、尋夜(ひろや)くんの気持ちをちゃんと聞きたかった。

二人っきりで話せば何か話してくれるかも。

私は授業中、先生に頭が痛いと言って保健室へ行くことを伝えた。

成夜(せいや)くんが一緒に行くと言ったが私は断った。

そして違う人にお願いをした。


尋夜(ひろや)くん。一緒に来て」

「俺は却下」

尋夜(ひろや)くんが来ないなら私は一人で行くよ。」

「誰かがついて行くよ」

「その誰かが尋夜(ひろや)くんがいいの」

「俺がいても何の役にもたたないけど」

「そんなことないよ。尋夜(ひろや)くんには頭脳があるんだから。それがあなたの武器よ。他の誰よりも強い武器」

「分かったよ」


そして私達は保健室へ向かわない。

だって私の仮病がバレちゃうでしょ?

尋夜(ひろや)くんのいつも行く場所に連れてきてもらった。


「図書室?」

「俺が一番落ち着く場所だから」

「いつも本を読んでるくらい好きなんだから図書室が落ち着くよね」

「俺は好きで本を読んでいる訳じゃないんだ。ただ知識を頭に入れたいだけ」

「えっ」

「俺の力はダークフォグの性質を知るだけ。最初に解析したら俺は必要ない。成夜(せいや)より俺は何もできないんだ」

「どうしてあなた達みんな、人と比べるの?」

「俺達?」

「そうよ。みんな人と比べるから自分が劣っているって思うのよ。よく考えてみてよ。尋夜(ひろや)くんができるのに他のみんなはできないことあるでしょ?」

「俺ができて、あいつらができないことか」

「私は尋夜(ひろや)くんだけができることたくさん知ってるよ」

「たくさん?」

「そうだよ。解析の力は絶対誰もできないよ。それと、いつの間にか私の後ろの席にいたり、尋夜(ひろや)くんの視線は心の中まで見られていそうな気分になるくらい鋭くて、ちゃんと人の顔色を見て言葉を言ったり、頭の回転が早いから人よりも動くのも早いの」

「そんなにある?」

「まだたくさんあるよ。でも最後にもう一つだけ言うなら、尋夜(ひろや)くんは誰よりも人の気持ちに寄り添って支えてあげることができるとても優しい人だよ」

「俺ってそんなやつだったんだ」

尋夜(ひろや)くんは自分の解析はできないのね」

「自分は見えないからな」

「それなら私が見てあげる。そして尋夜(ひろや)くんに教えてあげる」

「姫って不思議な人だね」

「それって褒めてるの?」

「褒め言葉」


尋夜(ひろや)くんはそう言って笑った。

初めてみた笑顔は尋夜(ひろや)くんの優しさが溢れていた。


「姫がいた」


いきなり私達の前にダークフォグが現れた。

また成夜(せいや)くんがいないときに、どうして?


「大丈夫。心配しないで」

「でも、成夜(せいや)くんいないし」

「今の時代、携帯持ってない人いないだろ?」

「電話?」

成夜(せいや)!ダークフォグが図書室に出た。早く来い」


尋夜(ひろや)くんは成夜(せいや)くんに電話をした。

電話越しに成夜(せいや)くんの“何で図書室なんかにいるんだよ”と言う声が聞こえていた。

電話を切ると尋夜(ひろや)くんはダークフォグを見る。

目付きが優しい目から鋭くなった。

ダークフォグの拳が尋夜(ひろや)くんの頬へ繰り出されている。

当たる!

私は見れなくて目を閉じた。

でも、尋夜(ひろや)くんが心配で片目だけ開けて見る。

尋夜(ひろや)くんは真上へジャンプをしてダークフォグの頭を蹴り上げた。

ダークフォグは倒れる。

でもすぐに立ち上がってニタニタ笑う。

するとダークフォグは私に向かってきた。


「くそっ、姫が」


尋夜(ひろや)くんの声が聞こえた後、私は怖くて目を閉じる。

フワリと優しい何かに包まれた。

目を開けると尋夜(ひろや)くんの腕の中にいた。

その後、ドンッと言う音に私は驚く。


「くっ」

尋夜(ひろや)くん?」

「大丈夫。成夜(せいや)が来たから」

「えっ?」

成夜(せいや)、多分あいつは()でいける」


尋夜(ひろや)くんはそう言って力を失くして倒れた。


尋夜(ひろや)くん」

「大丈夫。後で治療してもらえるから」


尋夜(ひろや)くんはそう言って私の膝の上で眠った。


その後、苳夜(とうや)くんを呼び、苳夜(とうや)くんの攻撃でダークフォグは消えた。

苳夜(とうや)くんの攻撃は凄く綺麗だった。


()よ俺の声を聞け。散りゆく力」


ダークフォグの胸に一輪の光輝く花が咲く。

その花は綺麗でとても儚く、すぐに枯れて散っていった。

ダークフォグと一緒に。


すぐに尋夜(ひろや)くんの傷も治療され、尋夜(ひろや)くんは元気になった。


「力も使わないでダークフォグの性質を見抜くのはすごいよ」

成夜(せいや)くんもそう思う?」

「やっぱり尋夜(ひろや)がいないとダメだな。」

「そうだよね。尋夜(ひろや)くん助けてくれてありがとう」


すると尋夜(ひろや)くんが私の耳元で囁く。


「俺、姫に選ばれたい。俺一人で姫を守りたい」


私は恥ずかしくなって顔を手で覆った。

成夜(せいや)くんが不思議そうに見て、私にどうした? なんて聞いてきたけど私には言えない。

ただ私は今は顔を隠したいのってだけ言ってその場をしのいだ。


こんな毎日でも、私はまだまだ普通の学校生活を送りたいと思っています。

読んで頂きありがとうございます。

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