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乙女ゲームには当てはまらない~私には誰も選べないから~  作者: 来留美
第一章~私には誰も選べません~
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第四・王子様達の秘密2

私はすごい秘密を知ってしまった。

彼らは今までどれだけダークフォグと戦ってきたのだろう。

彼らがダークフォグに負けないで生きていてくれたことに感謝する。

もし、誰か一人でもいなかったら私達は出逢っていないのかな?

私は人の死を一度見てきているから分かる。

大切な人がいなくなったときの絶望を。


今日もお父さんが準備をしてくれた車に乗って学校へ登校する。

教室へ入ると五人のボディーガードのうち四人は来ていた。

一人だけいない。


「おはよう成夜(せいや)くん。累夜(るいや)くんは来てないの?」

「知らない。あいつはいつも自由だからな」

「そうなの?」

「何か用事でもあるのか?」

「ううん。なんでもないの」

「そっか」


累夜(るいや)くんはお昼休みに学校へ来た。


累夜(るいや)くん。おはよう。こんにちはかな?」

「姫、おはよう。」

「遅かったね」

「ん? まぁ色々あるからさ」

「そうなんだ。でも、学校はちゃんと来ないとダメだよ」

「ねえ、何で俺の心配するの?」


累夜(るいや)くんは私の髪を耳にかけてくれて言った。

その仕草がとても自然でドキドキした。


「心配するよ。私のボディーガードなんだから」

「そっか。俺と話してると成夜(せいや)に怒られるよ」

「そんなことないよ。私は誰かの意思で動いたりしないよ。」

「それを俺に言う?」

「あっ、違うの」

「分かってるから。姫は俺達の心に寄り添うのが上手なのはね」

「何それ? どういう意味?」

「姫は優しいってことだよ」


累夜(るいや)くんはそう言ってウインクした。

累夜(るいや)くんには色気がある。

累夜(るいや)くんが何をするにも私はドキドキしてしまう。


今日ダークフォグが現れたのは放課後だった。


私は教室に忘れ物をとりに戻ったとき、クラスメイトがダークフォグになっていた。

五人のボディーガード達はいない。

ダークフォグが私との距離をつめる。

どうしよう。

怖い。

私は目を閉じた。


「何、俺の姫に手を出そうとしてんだよ」


声を聞いて私は目を開ける。

そこには累夜(るいや)くんがいて、ダークフォグに殴りかかっていた。


累夜(るいや)くん。」

「姫は成夜(せいや)を探して。まだ学校にいるから」

「でも、累夜(るいや)くんには特殊な力は使えないよね?」

「大丈夫だ。俺が足止めするから姫、行って」

「でも……」

「姫、大丈夫」


累夜(るいや)くんは私の頬に手を当てて私の目を見て目でも大丈夫と伝えている。


「分かった。待ってて」


私は走った。

成夜(せいや)くんがどこにいるかなんて分かんない。

だから私はある部屋に向かった。


成夜(せいや)くん。教室で累夜(るいや)くんが。お願い早く」


私は放送室で叫んだ。

放送室なら成夜(せいや)くんに聞こえるはず。

私はすぐ、累夜(るいや)くんの元へ走って戻る。

教室に戻ると成夜(せいや)くんと尋夜(ひろや)くんがいた。

成夜(せいや)くんは昨日のように空中に星マークを書いている。

そして呼ぶ。


「俺はコトを呼ぶ。さあ、俺の盾となれ」


星マークは光って人が現れた。


「僕の出番だぁ。やったぁ」


琴夜(ことや)くんが嬉しそうに現れた。


「コト、ダークフォグをやれ」

「は~い。僕は強いからお姫様も僕を好きになるかもね」

「コト、早く終わらせてくれ。その後があるから」

「は~い。それじゃあ僕の可愛い炎達を呼ぶよ。

火よ俺の声を聞け。(ぎょく)


すると琴夜(ことや)くんの手から火の玉が何個も出てきてダークフォグに当たる。

当たった玉同士はくっつき一つの玉になりダークフォグを飲み込みダークフォグは消えた。


「今日も楽勝だね」

「コト、ありがとう」

「いいって。それで後があるって何があるの?」

累夜(るいや)だよ」


私は成夜(せいや)くんの言葉に驚きながら成夜(せいや)くんの後ろを見る。

そこには傷だらけの累夜(るいや)くんがいた。

嘘。

私、間に合わなかったの?

私は累夜(るいや)くんの元へ走る。


累夜(るいや)くん」

「ん? 何?」

「大丈夫なの?」

「大丈夫なように見える?」

「全然見えない」

「俺達は普通の人間より頑丈にできてるから大丈夫だよ。ちょっとあばら骨が何本か折れたと思うけどね」

「大丈夫じゃないよ。痛いでしょ?」

「何で泣くの?」

「いなくなるかと思ったからよ。もう、私のせいで誰もいなくなってほしくないの」

「分かったから」


累夜(るいや)くんは私の頬に手を当て見つめ合うように顔を上げられた。


「何?」

「俺の為に泣く姫を見たくて」

「何それ」

「俺はこの為に戦っているのかもしれない」

「私を泣かせる為に戦うってこと?」

「違うよ。君にもう、そんな悲しい顔をさせない為に戦っているんだと思う」

「私の為?」

「そう。だから泣かないで。俺はどこにも行かないから」

「うん」


私は泣くのを()めた。

すると成夜(せいや)くんがまた誰かを呼ぼうとしている。

いつものように星マークを空中に書いて呼ぶ。


「俺はトウを呼ぶ。さあ、俺の盾となれ」


そして苳夜(とうや)くんが現れた。


「ん? 成夜(せいや)、ダークフォグいないよな?」

「今回は治療で呼んだんだ」

「誰かやられたのか?」

累夜(るいや)がやられたんだ」

「大丈夫なのか?」

「トウの力でなんとかなるはずだ」

「分かった。()よ俺の声を聞け。恵の力」


苳夜(とうや)くんがそう言うと小さな光の玉が累夜(るいや)くんの体に吸収され、累夜(るいや)くんは目を閉じた。

累夜(るいや)くんが眠っている間、私は累夜(るいや)くんから離れなかった。

その間、成夜(せいや)くんは残り二人の力の説明をしてくれた。


琴夜(ことや)は見た通りで火の力。苳夜(とうや)()の力で戦うんだ」

「うん。」


私は成夜(せいや)くんの話をなんとなく聞きながら累夜(るいや)くんのことで頭がいっぱいだった。

その後、累夜(るいや)くんは目を覚まし元気に帰った。


私の学校生活はもう普通になることはないのかもしれないです。

読んで頂きありがとうございます。

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