第四・王子様達の秘密2
私はすごい秘密を知ってしまった。
彼らは今までどれだけダークフォグと戦ってきたのだろう。
彼らがダークフォグに負けないで生きていてくれたことに感謝する。
もし、誰か一人でもいなかったら私達は出逢っていないのかな?
私は人の死を一度見てきているから分かる。
大切な人がいなくなったときの絶望を。
今日もお父さんが準備をしてくれた車に乗って学校へ登校する。
教室へ入ると五人のボディーガードのうち四人は来ていた。
一人だけいない。
「おはよう成夜くん。累夜くんは来てないの?」
「知らない。あいつはいつも自由だからな」
「そうなの?」
「何か用事でもあるのか?」
「ううん。なんでもないの」
「そっか」
累夜くんはお昼休みに学校へ来た。
「累夜くん。おはよう。こんにちはかな?」
「姫、おはよう。」
「遅かったね」
「ん? まぁ色々あるからさ」
「そうなんだ。でも、学校はちゃんと来ないとダメだよ」
「ねえ、何で俺の心配するの?」
累夜くんは私の髪を耳にかけてくれて言った。
その仕草がとても自然でドキドキした。
「心配するよ。私のボディーガードなんだから」
「そっか。俺と話してると成夜に怒られるよ」
「そんなことないよ。私は誰かの意思で動いたりしないよ。」
「それを俺に言う?」
「あっ、違うの」
「分かってるから。姫は俺達の心に寄り添うのが上手なのはね」
「何それ? どういう意味?」
「姫は優しいってことだよ」
累夜くんはそう言ってウインクした。
累夜くんには色気がある。
累夜くんが何をするにも私はドキドキしてしまう。
今日ダークフォグが現れたのは放課後だった。
私は教室に忘れ物をとりに戻ったとき、クラスメイトがダークフォグになっていた。
五人のボディーガード達はいない。
ダークフォグが私との距離をつめる。
どうしよう。
怖い。
私は目を閉じた。
「何、俺の姫に手を出そうとしてんだよ」
声を聞いて私は目を開ける。
そこには累夜くんがいて、ダークフォグに殴りかかっていた。
「累夜くん。」
「姫は成夜を探して。まだ学校にいるから」
「でも、累夜くんには特殊な力は使えないよね?」
「大丈夫だ。俺が足止めするから姫、行って」
「でも……」
「姫、大丈夫」
累夜くんは私の頬に手を当てて私の目を見て目でも大丈夫と伝えている。
「分かった。待ってて」
私は走った。
成夜くんがどこにいるかなんて分かんない。
だから私はある部屋に向かった。
「成夜くん。教室で累夜くんが。お願い早く」
私は放送室で叫んだ。
放送室なら成夜くんに聞こえるはず。
私はすぐ、累夜くんの元へ走って戻る。
教室に戻ると成夜くんと尋夜くんがいた。
成夜くんは昨日のように空中に星マークを書いている。
そして呼ぶ。
「俺はコトを呼ぶ。さあ、俺の盾となれ」
星マークは光って人が現れた。
「僕の出番だぁ。やったぁ」
琴夜くんが嬉しそうに現れた。
「コト、ダークフォグをやれ」
「は~い。僕は強いからお姫様も僕を好きになるかもね」
「コト、早く終わらせてくれ。その後があるから」
「は~い。それじゃあ僕の可愛い炎達を呼ぶよ。
火よ俺の声を聞け。玉」
すると琴夜くんの手から火の玉が何個も出てきてダークフォグに当たる。
当たった玉同士はくっつき一つの玉になりダークフォグを飲み込みダークフォグは消えた。
「今日も楽勝だね」
「コト、ありがとう」
「いいって。それで後があるって何があるの?」
「累夜だよ」
私は成夜くんの言葉に驚きながら成夜くんの後ろを見る。
そこには傷だらけの累夜くんがいた。
嘘。
私、間に合わなかったの?
私は累夜くんの元へ走る。
「累夜くん」
「ん? 何?」
「大丈夫なの?」
「大丈夫なように見える?」
「全然見えない」
「俺達は普通の人間より頑丈にできてるから大丈夫だよ。ちょっとあばら骨が何本か折れたと思うけどね」
「大丈夫じゃないよ。痛いでしょ?」
「何で泣くの?」
「いなくなるかと思ったからよ。もう、私のせいで誰もいなくなってほしくないの」
「分かったから」
累夜くんは私の頬に手を当て見つめ合うように顔を上げられた。
「何?」
「俺の為に泣く姫を見たくて」
「何それ」
「俺はこの為に戦っているのかもしれない」
「私を泣かせる為に戦うってこと?」
「違うよ。君にもう、そんな悲しい顔をさせない為に戦っているんだと思う」
「私の為?」
「そう。だから泣かないで。俺はどこにも行かないから」
「うん」
私は泣くのを止めた。
すると成夜くんがまた誰かを呼ぼうとしている。
いつものように星マークを空中に書いて呼ぶ。
「俺はトウを呼ぶ。さあ、俺の盾となれ」
そして苳夜くんが現れた。
「ん? 成夜、ダークフォグいないよな?」
「今回は治療で呼んだんだ」
「誰かやられたのか?」
「累夜がやられたんだ」
「大丈夫なのか?」
「トウの力でなんとかなるはずだ」
「分かった。木よ俺の声を聞け。恵の力」
苳夜くんがそう言うと小さな光の玉が累夜くんの体に吸収され、累夜くんは目を閉じた。
累夜くんが眠っている間、私は累夜くんから離れなかった。
その間、成夜くんは残り二人の力の説明をしてくれた。
「琴夜は見た通りで火の力。苳夜は木の力で戦うんだ」
「うん。」
私は成夜くんの話をなんとなく聞きながら累夜くんのことで頭がいっぱいだった。
その後、累夜くんは目を覚まし元気に帰った。
私の学校生活はもう普通になることはないのかもしれないです。
読んで頂きありがとうございます。