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乙女ゲームには当てはまらない~私には誰も選べないから~  作者: 来留美
第一章~私には誰も選べません~
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第一・最初の出逢い

今日から私は、転校生としてこの(かなで)学園で学びます。


私の名前は神藤(かんどう) さゆら。

高校一年生です。


お母さんの再婚でこの町に引っ越してきてまだ一週間です。

お母さんから結婚の報告を聞いたときは凄く驚いてそして嬉しくて泣いてしまいました。

私の本当のお父さんは私が小さいときに事故に遭い天国へいきました。


それからお母さんは私を一人で育ててくれました。

私が中学生くらいになると私はお母さんの異変に気付きました。

私のお母さんはドジばかりする、おっちょこちょいのお母さんでした。

そんなお母さんが結婚すると聞いたとき、大丈夫かな? なんて思いましたが、そんなお母さんをちゃんと支えてくれる大人なお父さんがきてくれたので心配はありませんでした。

私はお父さんと本当のお父さんのように仲良くなりました。

そしてお父さんの一言で私はこの町に来たのです。


「さゆら。お父さんは誰よりもお金を持っているから君をセキュリティー万全な学校へ転校させようと思うんだ。それでもいいか?」

「転校はいいけど、お金持ちなの?」

「一生、遊んで暮らしてもまだ残るくらいにね」


私には想像もできないくらいのお金があるんだろうね。

でも、お父さんは無駄遣いなんてしてなかったし、お金持ちの雰囲気なんて出してなかったよね。


「どうして今頃、言うの?」

「君に脅迫状が届いたんだ。私の可愛い娘に危険が及ぶと思ってすぐに行動を起こしたよ」

「お父さんありがとう」


私はお父さんに抱きついた。


「さゆらの為ならお父さんは何でもするよ」


なんて優しいお父さんなんだろう。

お母さんありがとう。

お父さんと結婚してくれて。


『ガシャーン』


凄い音がキッチンから聞こえた。

まさか。

私がキッチンへ行くとお母さんが三枚お皿を落として割っていた。


「さゆら。ごめんなさい」

「お母さんは何もしないでいいからあっちに座ってて。後は私がするからね」

「さゆら。ありがとう」


私はテキパキと片付ける。

こんなことは日常茶飯事だ。

今、思うとお母さんがいろんな物を壊しても次の日には新しいものがあるべき場所へあった気がする。

それがお父さんのおかげだったんだ。

お父さんはお母さんにケガがないのか確認していた。

なんて優しいお父さん。

私はお父さんみたいな人と結婚するからね。


「あっ、さゆら。話すの忘れていたけど、明日から君には五人のボディーガードをつけるからね」


お父さんは普通のお父さんが言わないことを口にした。


「ボディーガード? 五人?」

「さゆらといつでも一緒にいられるように、学年もクラスも一緒だから心配しないで楽しい学校生活を送ってくれ」


楽しい学校生活なんて送れないでしょ?

いつもボディーガードが一緒だよ?

それも五人でしょ?

私には普通の学校生活は送れそうにないだろうなぁ。



そして今、私は(かなで)学園の校門の前にいます。

お父さんが用意してくれた高級車に乗って登校してきました。

朝から、普通の高校生としての生活はできないみたいです。

車から降りると、先生達が迎えてくれました。


「これからよろしくお願いします」


私は元気に先生に挨拶しました。

先生達も笑顔で返してくれました。

それから私は教室へ向かいました。

ドアを開けるとクラスメイト達が私を見ています。

私は元気によろしくお願いしますと言いました。

クラスメイト達も言ってくれました。

とても雰囲気がいい学校で良かったです。


クラスを見渡すと何席か空いていました。

私は空席の隣に座りました。


すると教室のドアが開いて一人の男子生徒が入ってきて私の横の席に座りました。

そして彼は私を穴が開くほど見てきました。


「普通の女じゃん」

「普通とは?」

「可愛いわけでもなく、不細工でもない。普通」

「私?」

「他に誰がいるわけ?」


この人は私と喧嘩がしたいのでしょうか?

すごく失礼で、デリカシーのない人です。

私は怒りを抑え、彼を見ないように前を向いた。


「俺、あんたのボディーガードだから」


その言葉を聞いて私は彼を見る。

彼は頬杖をついて私を見ていた。


「ボディーガードってもっと優しいのかと思ってた」


私は嫌味を言うように言った。


「ボディーガードを五人もつけるなんて絶世の美女かと思ったらただの普通のお子ちゃまかよ」

「なっ、お子ちゃまって。あなたさっきから失礼よ」

「あんたが普通過ぎるからだよ」

「普通がダメみたいに言ってるけど普通が一番いいんだからね」

「そうだな。ごめん」


えっ。

何でいきなり素直になるわけ?


「俺は海道(かいどう) 成夜(せいや)あんたのボディーガードだから何かあったら俺に言えよ」

「私は神藤(かんどう) さゆらです。これからよろしくお願いします」

「さゆら。タメ語でいい。俺のことは成夜(せいや)でいいから」

「はい。あっ、うん」


いきなり名前を呼び捨てで呼ばれ驚いた。

でも、嫌な気はしなかった。



これが最初の出逢い。

ボディーガード一人目です。

成夜(せいや)くんは口は悪いけど、素直になるところもあって、そんなに悪い人ではないのかも。

しかし、横目で彼をチラッと見て気づく。

彼はとてもイケメンです。

ボディーガードでイケメンなんて、私が漫画の主人公だったら好きになるところなのかも。


「何、見てんだよ。見るなら金を払え」


前言撤回。


私が漫画の主人公でも彼は絶対好きにならないです。

私をバカにしているのが分かる。

私の顔を見てクスクス笑ってる。


「お前の顔、七変化だな」

成夜(せいや)くんのせい」


私はそう言って前を向いた。



私の学校生活はやっぱり普通ではないみたいです。

読んで頂きありがとうございます。

もっと続きが読みたいと思ったかたは教えて下さい。

教えて頂ければ次の話を早めに投稿しようと思います。

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