鳥人間コンクール
大洋に面した離島で、島興しの一環として、鳥人間コンクールが行われた。
関西の某湖上で行われているコンテストにヒントを得たものだったが、年を経るごとに審査基準が変わっていった。
実際に飛ぶことは出来なくとも、両腕に翼を装着した青年たちの力強さや優美さ、全体のバランスなど、見た目を総合評価する方向にシフトして行ったのだ。
それに従い、航空力学に則って作られた骨組みの上には、色彩豊かな羽根が飾られるようになった。
本番では、鷹、孔雀、翡翠などをモチーフに、趣向を凝らした翼を披露する青年たちの姿が、屋外会場の太陽の下に光り輝いていた。
アピールタイムでは、まるで求愛ダンスのように翼を見せびらかし、ポーズが決まるたびに、観客は歓声を送り、審査員は溜息をもらした。
そんな、大空に憧れる鳥人間たちの様子を、燕や鳩など本物の鳥たちは、不思議そうに眺めていた。