プロローグ
まちがもえている。
ひとももえている。
かみなりがおちる。
ほのおがあがる。
なんでもえているの。
おかあさん、おとうさん、どこにいるの。
おんなのこがたっている。
こっちをみてわらった。
なんでわらっているのかききにいこうとしたら、めのまえがまっくらになった。
こわいよ、たすけて、たすけて。
たすけて!
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目を覚まし、朝の日差しが差し込む窓に目をやる。外は清々しい青空だった。
「またか…。」
後頭部にできた寝癖に手をやりため息をつく。
10年前のあの災害の時からあの夢を何回も見る。かつて街を襲った巨大な暗雲が雷を降らし、多大な焼死者を出した災害だ。結局自分がどうなったのか、あの少女が誰だったのか分からない。そしてあの日から身体の中で何かが蠢くように感じることがある。だけど自分達家族が生き残ったからそれだけでもいいやって気にしないようにしている。
「タイチー、起きなさーい。学校に遅刻するわよー。」
下から母の呼ぶ声がする。はっと我に返った。
今日から新たな学校生活の始まりだ。いつまでも過去に縛られていては仕方がない。
「行くか。」
そう決心したように呟くと自分の部屋をあとにした。
下に降りると父が朝刊を読みながらコーヒーを飲み、母が洗い物をしながらテレビを見ていた。テレビからは無感情なアナウンサーの声が聞こえてくる。
「昨日の昼、咲夜町で変死体が発見されました。死体は獣の爪で切られたようになっており、警察はソウルによる殺人の線で調査を進めていくとの事です。」
「またソウル使った殺人だって、いつの時代も変わらないものね。あんたも気をつけなさいよ。ソウル持ってないんだから。」
と心配性の母が言う。俺はそれをハイハイと聞き流した。いつもの事だ。
ソウル、獣や神話の英雄の力を宿す神秘の力。持っている人は地球人口の約0.001%にも満たないと言われている。確かにそんな強大な力あればどんなに楽か、と考える。だがアホらしくなって、現実に戻される。
流石に授業初日から遅れる訳には行かないので、残りの朝食を口に突っ込み飲み込む。玄関に向かい、新品のカバンを手に取り、真っ白なスニーカーを履いた。振り返らず無表情に言う。
「それじゃ、行ってくる。」
何気ない朝の日常。それを背に新しい日々への1歩を踏み出した。
初の小説です。
プロローグの長さがどれくらいが良かったのか分からなかったので、とりあえずこのぐらいにしました。
文学が苦手な学生ですが、何卒お願い致します。