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序章 始まりの星点
あれはなんだ。
午前一時を回った頃の寒空の下で、望遠鏡を覗きこんでいた加美良星司は自分でも驚くぐらいの声で叫んでいた。
星司は夜な夜なこうしてひっそりと自宅から数キロ離れた自称秘密基地にて天体観測を行い、観測した星達を勝手に自由に独自に結び星座に名前をつけるというかなり変わった趣味を持っている。
「こんなに美しく整った星座がオリオン座以外にも存在するのか?」
これは夢に違いないと星司は、自分で頬引っ張ってみてもやはり痛く、息を吐いても火を吹くはずもなくただ白い息が出るばかりであった。
「ねこ座とか、電気機械座なんていう名前の星座も見えるっておじいさんから貰った本には書いてあったけど、僕の目には一切そんな風には見えなかったけども……」
しかし、望遠鏡には空に浮ぶ満月の中でもしっかりとその星達は輝き映っていた。
その星座は九つの星で構成されていた。
冗談でも洒落でもなく、紛れもなくその姿は餃子の形をした星座であり改めて観測した星司は、
ぎょう座と星司は思わず叫ばずにはいられなかった。