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始まりの前。10

 

 にらみ合う美少女たち。悪くない画です。


 銀髪ちゃんはニヤリとしてて、ティアは目を爛々と輝かせてます。


「まったく……お前はいつもボクを怒らせる。ボクの大事で愛しいイリスは……あげないよ?」

「あら……そう? なら――」


 と銀髪ちゃんが言った瞬間彼女の手に力が集まり、それを見た私は……――


「――っが!」


 という声ような音が、地面に叩き叩きつけた()()()()聞こえました。


 私の手で顔を地面に押さえつけられ、みっともなくもがく、もの。


「今、ティアを殺そうとしましたね? ティアを殺していいのは私だけです。ティアを壊していいのは私だけなんですっ! それを――私から奪おうとしましたね? ティアを奪っていいのも私だけなんです! ティアを奪って壊して殺して愛していいのは――」


 私の中で燃え上がった怒りの炎は赤から青へ、青から白へ、そして黒に至りました。


 頭の中は奪っていいのは、殺していいのは、壊していいのは、愛していいのは……――――――



 奪え壊せ殺せ奪え壊せ殺せ奪え壊せ殺せ奪え壊せ殺せ奪え壊せ殺せ奪え壊せ殺せ奪え壊せ殺せ――喰らい尽くせ……愛し、尽くせ。


「あー頭の中が非常に――非常に……うるさい、です」と言って押さえつけているモノを掴んで、持ち上げます。


 これをどうしようか悩んでいるとティアが何か言ってるようです。


「――い。――す。お――っ!」


 なんでしょう? 物凄く慌てた顔をしてますが。


 それより……お腹空きましたねぇ。

 これ食べれるんでしょうか?


「ふむ? 喰ってみたらわかりますか?」

「ちょ――!! ま――」


 なにか言ってますが――?


 掴んだ右手をそのままして、左手で食べやすいくするために左右に引っ張って――ガブリといきます。


「肉の弾力、ティアと明らかに違う血の味と力の味……意外といけますね」ともう一口いこうかと思っていたら背中にティアの感触が伝わってきました。


 どうやらティアが私を羽交い絞めにしてるようです。


「――イリス! 落ち着いて! あれは挨拶みたいな感じだから! ボクらの! ……だからそれを早くポイして? ね?」


 なんか最後の方は子供に言い聞かせる母親のようになってますが……あれ?


「ん? 私……そうか、頭にきて」

「お! 帰ってきたかい!? ボクがわかるかい?」

「え、ええ。私のティアです可愛いティアマトちゃんです」

「おおう。戻ったね? じゃぁ手に持ってるのはわかるかい?」

「んん? 手……――ああ。銀髪ちゃんですね?」


 ティアに言われて何かしら掴んでる感触がする手を見れば、首からダラダラと血を流す銀髪ちゃん。


 おう……そう言えば思いっきりかぶりついたんでした。


 とにかく、瞳孔がガッツリ開いて口からも血を垂らす銀髪ちゃんを地面に寝かせました。






「ティアマト! あなたいったい何を創ったのですか!?」とヒステリックに叫ぶ銀髪ちゃんの声が、響きます。


「邪神兼、ボクの愛しの女神ちゃん」とティアがニヤニヤしながら銀髪ちゃんを煽ります。


 ――あれから死体となった銀髪ちゃんは華麗なる復活をとげると、ティアの背に隠れながら私を指さし、わーきゃー騒ぎ出したのです。


「セフィ! ボクの恋人を指ささないでくれるかな?」

「恋人ぉっ? この――方がですか!? ありえないでしょ!? いろいろと!! だいたい私を喰らうなんてどーなってるんですかっ!!?」

「あと耳元で大声出さないで? 質問に答えるけど……叫ばないでよ?」

「いいから教えなさい!」

「あーもう! うるさいなぁ……素体にカンナカムイの体を使ったんだよ」

「――――はぁぁぁぁぁあああああああああっ!!!!!!」


 うるさっ! こっちまで耳を塞いでしまう程の絶叫を銀髪ちゃん改め、セフィ嬢が張り上げます。


「だぁああああ!! うるさい!!」とティアも混ざってわーきゃー騒ぎ出す始末。


 それから断片的にですが、理解できた話を纏めると、どうやら私の体はなにやらヤバいモノがつかわれているようです。


 神を泣かせ喰らい尽くす、神にとっての脅威――略してカンナカムイだそうです。


 なんでも大昔に誰かが創った神殺しの兵器らしく、ティアが面白いからと言って奪取して、そのまま放置してたとか。

 で、邪神もとい私を創る時にこれまた、面白半分で切って刻んで磨り潰して素体にしたと。


 こんな感じでしょうか?


「あ、ああなた……なんてモノ――じゃなくて。存在を使って創ってるのですか」と話を聞き終えたセフィ嬢の慄いた顔が、


「ぷっ」

「そこ! 笑い事じゃないんですよ!!?」


「――失礼。怒った顔がティアにそっくりだったので」と笑いながら謝罪すると、今度は吊り上がった目尻が下がり丸くなります。


「――なっ! ……ティアマト!」

「なんだい? もう帰ったら?」


 またもや二人で盛り上がってるので、私は先ほどから気になっている事を確かめる事にしました。


 二人からやや距離を取り背負向け、私からそれなりに離れた場所に的を作ります。

 やり方は的をイメージして力を込めて、指を鳴らすだけ。

 いやはや魔法って便利ですねぇ。


 では、早速確認です。

 何と言いますかセフィ嬢の一件から私の力が増したというか……元々あった力を見つけた、とでも言えばいいんでしょうか? それの確認です。


 的に手を向けその力を少し引き出すと、あら不思議。

 向けた手というか腕にバチバチと音を鳴らして、稲妻が纏わりつきます。


「おお! なんかかっこいいですよ!」


 で、それを的に向かって放つ。

 多分一瞬の出来事なんでしょうが、私の目には稲妻が龍のようになり、蛇行しながら的目掛け伸びていくのが見て取れました。


 そして、響き渡る轟音と的があった場所に広がるドーム状の閃光。

 衝撃波と轟音がお腹に響いて気持ちがいいです。


 どうやら私、雷を撃てるようになったようです。


「これってウシュムガルでも撃てるんでしょうか?」と疑問に思ったので早速確認。

 気になったら即実行が売りな私です。


 腰からウシュムガルを生やして、さっきの力を流すと予想外の事が起こりました。


「これは――蛇が龍に変化しました、よ?」


 まぁ言った通りなんですが、蛇の頭が龍、というよりドラゴンと言った方がしっくりくる頭に変化しました。

 しかも鬣と背ビレが混ざったようなモノは背に走ってます。


「これはこれでかっこいいですよ!! ん? でも変化できるのは二匹が限界のようですね。七匹中――いや追加で二匹ですか!」


 七番目のコブラの左右に先ほどの竜頭が並びます。

 ウシュムガルが合計九匹に増えました。


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