92 悩みなんか自然消滅するものもある……
「つかさちゃん、よろしくお願いします」
「しょうがないな〜」
東城さんが清水くんの額に手をあてる。これはまさか僕もくらった……
「えっ?何?」
「きょーせーはつどー!………別に叫ぶ必要はないけどさ」
そうなんだ……。なら叫ばなきゃいいのに……。
「うぅ〜、何が起きたんだ?」
あれ、見たことがない女子がいるな……。
「オレが何したっていうんだよ!」
えっと、まさか……
「清水……さん?」
「オレは男だって!」
僕にはどう見ても一般的な女子生徒にしか見えないけど……。
「いや〜、鈍感だね〜。あたしに戻されたのに気付かないなんて」
「え、あ、………えぇぇぇぇ!」
そこには驚きを隠せない顔をした、少しボーイッシュな少女がいた。
「つまり正確には…………清水……さん?」
「そういうこと!」
「有希くんには教えておかないといけないと思いましたから。清水幸代さんのことを」
「っていうことであたしたちに嘘ついたから
「さっちゃん」って呼ぶことにするから」
「東城先輩酷いよ……」
「まあ、普段は男の子で来てもいいよ。たまに僕も女の子で行くからさ」
「ありがとうございます!」
どうやら残った理由はそれだけだったらしく、その後は帰路についた。
帰宅して愛にそのことを話した。
「そのことは知ってる……」
じゃあ話してよ……。
「てっきり有希は知っているかと……」
知らなかったよ……。
「ところであなたに好意を持つ人がたくさんいるが、あなたのよく知る人物はたいていが持っているから突然の告白には気をつけて……」
はあ……。人によっては羨ましいんだろうな……、数人の女子から告白されたおいしい状況は。
「もう寝る……」
その後、愛はご飯も食べずに寝てしまった。やけに疲れてるように見えたが気のせいだろう。
愛を布団まで運び、僕もご飯を食べてから寝た。
翌朝のこと、僕は愛が
「お腹空いた……」
と揺すり起こすおかげで深夜だか早朝だか区別しがたい時間に起きた。超早寝するからだ。
「お願いだから眠らせて……」
「お腹空いた……」
まだ揺する。
「もう3時間待って……」
そうすれば朝ご飯の時間になるから……。
「やだ……」
わがままだなぁ……。
「お願いだから寝ててよ……」
ユキに変わり、愛が跳ね返せない程強い魔法で3時間ほど眠るようにした。
おやすみなさい……。
…………。
「起きて……」
まだ眠い……。
「起きろ……」
布団を剥がされた。
「ご飯……」
手っ取り早く作り、済ませたあとに登校した。
〜とある休み時間〜
「佐藤〜、意見の9割が意見じゃないよ〜」
「俺にグチをこぼすな」
「どうすればいいかな〜?」
「知らん。断れ」