82 えすけーぷ……
誰がつけたかしらないが腕輪がついていた。これによって変化系の能力は一様に変身できなくなる。私も例外ではない。
今の状況は男子数名と女子(私)1人。ここは使いたくないが奥の手1を使うとしよう。
「ねぇ……」
妙に女の子っぽく、
「言いたいことがあるんだけど……」
少し幼げに上目遣いで、
「私ってね、女の子をいじめない優しい人が好みなの……」
好み(嘘だが)を暴露。目の前で直接暴露されて、そうしない奴はいないはずだ。
-ユキ、読心されてるわ-
…………やべぇ。イヤリング外してたのを忘れてた。読心はポピュラーな能力でクラスに何人かはいるものだ。能力を持っている人では読心が3番目位に多い。
-ちなみに女子は全員、とっくに部屋にいるわよ-
タオルも乾いてきたな……。その時だった。
ガシッ
「えっ?」
羽交い締めにされてしまった。これでは男の力に敵う訳もない。この展開はまさか……
羽交い締めにする=自由を奪う→いろいろなにかされるかも
やだぁぁぁぁ。
「な、何する気?場合によっては引き受けるけど……」
一応聞いてみる。
「……助かる。……力ずくでやらずにすむかもしれない」
「で、何?」
「……裏取引用の写真撮影」
そんなことか。
「売れるかは知らないけどいいよ。但し、撮影時間3分あたり50円貰う」
「……交渉成立」
ちなみに計算上1時間1000円になる。
「さ、放してよ。早く放さないと」
「何ができる?」
佐藤は気絶してるし、まだ羽交い締めにされてるし。女湯は誰もいないはず。
「あっ!女子が1人間違って入って来た!」
「「「何だと!」」」
注意をそらし、直ぐさま羽交い締めにしてる奴らの目元を殴って視界を奪う。そして、女湯へ魔法でワープ。そいつらの誰にも見られなかった。
〜女湯〜
「あ〜、やっぱり1人でのんびりと入るのはいいね〜」
シュン
「あ……」
「えっ?……」
まだ1人いたんだけど……。しかもその人の目の前にワープして来ちゃったし。
「や、やあ近藤さん」
「ユキ……さん?」
2人に沈黙の時間が流れていった……。
「えっと、その……」
「ユキさん大丈夫だった?」
あれ、案外普通に受け流してる?
「何とかね」
「じゃあもう少し浸かって一緒に出ましょうか」
「そだね」
そうして数分後、私たちはお風呂からでて、浴衣に着替え、部屋へ戻った。
「ところでユキさん」
「んっ、なに?」
それは部屋で髪を乾かしているときだった。