72 たまには息抜きもしたい……
「校長先生、あの……私は……」
真樹が呟く。
「君は姉であり、彼の補佐だから君にも仕事はあるんだ」
「校長、式について詳しく説明願います」
「簡単だよ、真樹さんが君に賞状を渡し君はは檀上で綾さんにに賞状を授与する。よっぽど変じゃない限り君のアドリブで構わない」
噂には聞いていたが校長はやはり放任主義(面倒くさがり)だった。
「あの……それは……」
「任せたよ2人とも」
「あ、はい……」
ちなみに週末にするらしい。
放課後、僕はしいちゃんと一緒に真樹の家へむかった。が、何故か優稀さんも一緒だ。これでは優稀さんが帰るまでなにもできない。こうなったら……。
「優稀さん、そろそろ帰らない?」
「まだ早いですよ?有希くん」
「これから天候が悪化するらしいから早めに帰った方がいいって思って……」
これは本当だ。
「折りたたみ傘ありますから……」
準備のいい奴め。でも……
「優稀、2人と帰った方がいいわよ。有希が言ってたように。暴風注意報もでてるから折りたたみ傘じゃ壊れるわよ」
「そうですか……じゃあ帰ります」
そうして僕らは真樹の家から出て帰路についた。
「ここでお別れですね」
「じゃあまた明日」
「さよなら……」
そうして優稀さんと別れた。しばらく手を振ってると優稀さんが見えなくなった。
-早くして……-
-分かってるから-
見えなくなってすぐに転移魔法で真樹の家の近くまでとんだ。男のまま使うと少し大変だがそれでもしいちゃんよりは速い。
「真樹、来たよ〜」
「あんたね〜。まあいいわ、あがって」
そうして優稀さんを帰らせるのに成功した。
「静かなお姉ちゃんとお兄ちゃん、また来たんですか?」
「そう……」
「綾に用があるのよ」
そう言ってしいちゃんに魔導書を出させた。その瞬間、綾ちゃんの態度が一変した。
「貴様か……」
「綾、どうしたの?」
「お姉ちゃん、あれが何だか知ってるの?」
何だかキャラが変わった気がする。
「ただの本じゃないのは分かってる……。まさか貴様だったとはな……」
恐ろしいオーラが見える気が……。
「何だか知ってるの?……」
「魔導書を寄越してください!もう犠牲を増やさないために」
「オリジナルはもうない……」
「そう……なの?」
「これは巧妙なレプリカ……」
「綾、何があったか説明して……」
どうやら訳ありらしい。まさか魔導書の存在を知ってたなんて……。
「ご、ごめんね、静かなお姉ちゃん」
「別に構わない。何があった?……」