58 しっかり考えて行動したほうが……
「私も……」
「しょうがないわね。おごってあげる」
真樹、太っ腹!
「私は太ってなんかない!」
思いきり蹴られた。相手が男だから余計に容赦しなかったらしく、湿布を貼りたい程だった。
というわけで駅前の某レストラン。
「ところでいくら持ってるの?」
「お札はないわ」
そんなので大丈夫か?
「私、ゴールドカード持ってるから」
「「はい?」」
「私、ゴールドカード持ってるから」
思わず耳を疑い、しいちゃんと確認する。どうやらしいちゃんも聞こえたそうで幻聴ではないようだ。
「お金は大丈夫?」
「余裕よ」
「何で?……」
「あんたたちみたいに両親死んでないの。だから……」
「「………………」」
親か……。真樹には肉親がいるからな……。
「親……、私たちにはいない……」
「…………2人ともごめん。……す、好きなもの頼んでいいわよ」
「じゃあキャビア!」
「燕の巣かフカヒレ……」
「普通のレストランにはそんなのないって………」
〜帰宅後〜
「お風呂……」
そういえば、しいちゃんは段ボールハウスに住んでる時はお風呂どうしてたんだろ?
「秘密……」
「魔法使って洗ってたらしいわ」
「……っ!ちゃんと読心防止の障壁を張ったはず……」
確かにしいちゃんは張っていた。真樹はいったいどうやって?
「魔法で障壁の部分破壊しただけよ」
「本当に一部だけ……あなたの能力が読心だから障壁破壊のみで済むということ……」
「そういうこと!」
「改めて、お風呂……」
面倒だったのでしいちゃんにちょうどいい湯加減のお湯に魔法で急激に沸かしてもらった。僕は男だから一緒に入る訳には……
「有希、ユキになりなさい!」
断固拒否、したいけど……
「あなたの魔力についてまだ話してない……」
じゃあ外で扉越しに聞きます。
「お願い……」
断固拒否。
「なら、男のままでも構わない……」
「「えっ?」」
聞き違いかな?思わず真樹と目をあわせる。
「性別に違いがあるだけで存在自体は有希あるいはユキと同じ……」
「ちょっと待ちなさいよ!その……気持ちの問題というか、恥ずかしいじゃなぃ……」
顔を真っ赤にしながら言葉を尻すぼみにする真樹。僕も同感だ。男のまま女子とは入りたくはない。まあ、ごく普通の一般的な健全な男子なら入りたいだろうが僕は微塵もそんなの感じない。
「じゃあ、私たちが彼にあわせて変われば……」
そういってしいちゃんが男の子になった。魔法って万能だなぁ。
「じゃあ私も!」
真樹も変わった。こうして女子みたいな男が2人。僕は男だから、ちゃんとした。
「しまった……」
「しいちゃん、どうしたの?」
しいちゃんの様子がおかしい。
「戻れない……」
・・・・・・。
「有希、私も……」
とんでもないことになってしまったかもしれない。
1日が30時間あれば嬉しいです。