55 世の中は複雑だったりする……
少々分かりにくいところもあるかも知れませんがたぶんもうでできません。数学的表現をしたかっただけです。なんだか最近、このこなは活力が欠乏しております。
「次はあなた……」
もう的があった。
「私よりすごいのを出すんじゃないわよ!」
いやなこった。
「………………………」
「ユキは何してるの?」
「彼女は詠唱を使ってる……」
なにそれ?知らんで使ってますよ?
「何なのよ?それ」
「ある程度強力な魔法は詠唱を必要とする……。威力と長さは比例する……。でも彼女の唱えてるのは聞いたことがない……」
「もういつでも使えるよ〜」
しいちゃんの説明が終わる頃には詠唱は終わってた。私の足元には小さな魔法陣。それを的まで移動させる。
「初めて見る……。彼女の本気……」
「ユキ、私よりすごいのを(略)」
「やだ」
そういって発動。あっという間に白い光の柱に包まれて跡形もなく消滅した。
「すご……」
2人とも唖然。私も驚いた。
「結構加減したんだけどな〜」
「どうやったか教えなさい!」
「知りたい……」
しょうがないな〜、教えよう。
「まず、しいちゃんなら知ってると思うけど属性を混ぜれば新しい属性ができるの知ってるよね」
そういって手の平に氷を作る。これは水属性に風属性を混ぜて水の温度を下げただけ。
「知ってる……」
「こう?」
真樹が頑張って氷を精製する。
「そう……、でも関係あるの?……混ぜること自体が高等技術……」
へぇ〜、と呟きながら真樹は次に手から蒸気を出して氷を溶かしてる。
「それで、さっきのは火(FLAREなので以下魔法構成式の時はF)、水(AQUAなので以下A)、風(WINDなので以下W)、土(EARTHなので以下E)、雷(THUNDERなのでいかT)を混ぜて無属性にするんだよ。ただし、普段使うの(BOIDなので以下B)と違って遥かに強力な無属性なんだよ」
「すごい……」
「それらを光と闇でそれぞれ作って、通常の無属性で魔力増強の付加をかけて光で補助しながら闇の方を放っただけだよ」
まとめると、光{(F×A×W×E×T)+B}+闇{(F×A×W×E×T)+B}、である。
「ユキ、あなた何者?まるで全部知ってたような感じじゃない!」
「幻覚じゃない……」
幻覚、という言葉にいらついたので更に威力を落とした簡易版(基本構造は同じ)を使ってしいちゃんの左肩から先を吹っ飛ばした。
「痛い……」
「ごめん、回復魔法もう使えない」
「ユキの馬鹿!後のこと考えなさいよ」
慌てて真樹が傷口を塞ぐ。
「これ……なんで……」
しいちゃんが呟いた。