30 もう、どうにでもなれ……
「恭子と明奈から聞いたんだけど、ユキって奴はふたりを見分けることができたそーじゃねーか」
「あいつら見た目は似てるよな」
佐藤……余計な事を言うな。
「あたしは見分けることができるけど……佐藤、お前は無理だろ」
「ああ……」
「でもゆーちんはできるよな」
「えっ……うん」
「つまり、仮定だけどユキって奴はゆーちんってことだな」
なんて推理力が高いんだ。隠しづらくなってきた。
「ところであたしの能力知ってる?」
「なんだっけ?」
昔聞いたんだけど忘れてしまった。
「例えば……」
そう言って佐藤の額に軽く指をあてて……
「あんた能力多いな……」
と呟いた。
「能力は一つしか持ってないぞ」
「違うよ、あんたはもうちょっと別の能力もあるよ」
そう言って今度は手の平をあて、
「よし、終わった。これな〜んだ」
そう言って、透明な液体を取り出した。
「えっと……塩酸?」
そんな危険な物の訳が……
「せーかい」
なんだと!!
「お前は優稀とほぼ同じ能力もあるんだよ。中身は優稀の方がいいけどな」
「俺に……何したんだ?」
「能力の強制解放。明日は休め、頭痛で何も出来ないはずだから」
「どれだけ痛いか想像できないししたくもないな……」
何だか集まった目的が忘れられてる気が……、
「あとあたしの能力は無理矢理使わせる、強制発動もあるんだよ。それをゆーちんに……だから……腕輪外せっ!」
「な、なんで!?」
「ゆーちん、直接触れて使う能力は対象者が腕輪つけてると使えないんだよ……、だから……外せぇぇ!!」
「他人は外せないから〜。痛いから〜(泣)。ちょっとやめ………」
バキィッ
………へっ?
「あっ、壊れた」
東城さんの手には壊れた腕輪。僕の腕には腕輪の破片。
「ふふふふふっ☆」
東城は妖しい笑みを浮かべた。恐怖感でいっぱいになり中島は動けなくなった。(客観的解説)東城さんが僕の額に手をあて……
「きょーせーはつどー!!」
僕、いいや私はユキに変わってしまった。だが……コンマ0.001秒(極端だが目にも留まらぬ速さ)で戻った。いや、戻した。ふぅ……。
「……変わらなかった」
「違う……瞬時に戻したんだ、こいつ。もう容赦しねぇ……」
変えられる。
戻る。
そんなことを繰り返し続けた。
「「はぁ、はぁ、疲れた」」
「東城……さん……、諦めて……よ……」
「いや……だ……。………今だ!!隙ありぃぃ!!!!」
……ふぇ?
佐藤に続き東城さんまでもが……