26 来るなよ……
「実はむこうでしてたのよ。むこうの人って日本人と比べると力が強い人が多いでしょ。だからこっち来てからすぐに免許皆伝って訳よ」
海外でも空手ってあるんだ……。
「そういえば……交換戦争の時に私に向けて英語で何か言ったよね?」
「ユキちゃんまだ覚えてたんですか!?」
「何か言ったかな……?」
「素早いけどすぐにやられそうって思った時に……」
「ユキちゃん忘れた方がいいですよ」
「そうよ、忘れた方がいいこともあるわ(さすがに、1回死んでみる?、って言ったなんて言えないわね)」
しょうがない。ここは戻って……
「あれ?なんで腕輪外してるの?」
戻って、
「おし……?」
戻って……ない!
「寝てる間に私の付けちゃった」
「すいません、気付いてはいたのですが……」
「たまには戻らせてよ!」
最近ずっとこのままだ。
「じゃあ条件があるわ。外してあげるから私のことを戻っても真樹と呼ぶことと優稀のことを田中さんと呼ばないこと」
「それくらいなら構わないけど……」
外して……
ピンポーン
呼び鈴が鳴った。誰だろうか。
「あっ佐藤。どうしたのよ」
「俺の姉ちゃんが意味深なこと言ったから……」
「そんなに気になるなら直接聞けばって言ったですっ!お久しぶりですっ!」
やばい。戻らなければ。
「……優稀さんこれで大丈夫?」
「……はい」
「あがっていいか?」
「優さんはいいよ」
「俺は?」
「ちょっと待ってなさい。本来は女の子の部屋に男がズカズカはいるものじゃないのよ。わかる?」
「…………」
「よろしい。待ってなさい」
「ユキ大丈夫?」
「佐藤、いいわよ」
………………
「ところで今思ったけど佐藤の能力って何なのよ?」
気になるところだ。
「中島、田中に何が大丈夫と確認したんだ?」
「き、聞こえてたの!?」
「これしか能がないんですよ、こいつ」
「優さん、どういう……」
「こいつの能力ですよ。あと……ちゃん付けで呼んでくれますか?慣れないし、敬語じゃなくても良いですから」
「ところで、中島の能力は……」
「お、お茶いれるね。優ちゃんはオレンジジュースだね」
「はいですっ!流石おねーさん。読心できるだけあるですねっ!」
「えっ…なんで……」
「この前教えてくれたですよ」
「田中、お前はどんな能力なんだ?」
「待っててください」
「とりあえず……待つか」
本城さんが飲み物を持ってきた。
「私は緑茶でユキは麦茶、優稀は紅茶に優ちゃんはオレンジジュース、佐藤は……青汁でいいのよね」
「なんで青汁!?」
「好きだから」
本城さんの帰国子女というせってーを忘れてた人、挙手!(確実に1人は忘れてたな)