187 帰宅して
「ただいま〜」
私が帰ると2人が出迎えてくれた。リデルが見えないのは魔界に送ったからだろう。
「有希、大じょ……う……」
「お姉ちゃん、おか……え……」
「どうしたの?」
なんだか黙ってしまった。
「「キャァァァァァァァアアアアアアアアア!!!!!!」」
「どうかした?」
「どうしたもこうしたも……」
「お姉ちゃん、真っ赤……」
改めて自分を(鏡で)見てみる。
・・・。
うん、血まみれだ。
髪は一部、赤黒く染まりつつあり、服の胸元には穴が空き、そこから赤が染み、スカートにまで返り血を浴びていた。
……危ないを通り越してますね。
「刺されたからねぇ、心臓」
「「心臓!!?」」
「ちょっとお風呂入ってくる」
「「逃げた!!?」」
こいつらうるさい。
汚れが……落ちない……。
「お姉ちゃん、入るよ〜」
「あー、うん」
「私も入ろうかな〜」
「どーぞ」
ふぅ。
ガラッ
「うわっ!!」
「佳奈、どうかした?」
「お姉ちゃんの背中……」
「すごいことになってるよ……」
すごいこと?
「傷が塞がってないよ」
「治ってないの?全身に治癒魔法をかけたんだけどなぁ」
「それは回復阻害の効果がついているからだろう?」
突然の声。
「マオちゃん!」
「久しいな。ユウキが反魔王派のど真ん中に飛ばしてくれたお陰で少し苦労した」
「ごめん……」
「それでユウキの傷だがな、原因はチコとやらの魔力ではない。マキの妹のものだ」
「あーちゃんの!?」
「致命的な傷が損傷部から侵食していく、呪いだ。闇の無属性だろう」
なら、打ち破ればいいと思うけどな……。
「呪いか……厄介だね」
「どうして?」
「解呪すると、した人が呪われる。だから、特殊な道具や魔法とかが必要なんだよ」
愛がそう応えた後、佳奈が一言、
「じゃあ私が解けばいいのか……」
「佳奈が呪われちゃうんじゃないの?私が解けばいいんだよ。神力ならたぶん……」
『無理ですね』
『マジ?』
『はい』
「ダメみたい」
「大丈夫だよ、お姉ちゃん。佳奈の魔力には呪いをはねのける力もあるから」
ライトグリーンの魔力ってすげぇ。
「で、なんで愛は驚いたの?普段は平気な顔してるのに」
「えっ?ノリ」
ゆっくりとお風呂に入った後にはやっぱり牛乳を飲みたい訳で飲んでいると、リデルがトテトテ歩いて来た。
「どうかした?」
「ああ。ちょっとな」
いったい何の話があるのかは分からないが聞いてみよう。
「ユウキとアイは修学旅行とやらに行くだろう?カナと私をどうする気だ?」
あ、そういえば。
「留守番できない?」
「それもそうだが、行き先によるな」
「まだ日はあるから。行き先まだ決まってないし」
「そうか」