186 終決と
いやはや、随分放置してすみませんでした。
遅くとも隔週になるように精進しますのでこれからもよろしくお願いします。
手応えがない。
「後ろ」
目の前の彼女は霧のように消え、背後に現れる。
ドスッ
そんな音がした。
私の左胸から何かが飛び出ていた。
「あ……」
私の口に血が溢れる。
紅い剣が私の血でさらに朱く赤く染まっていく。
「神力で幻を作って正解だった。神剣ならあなたにも効果は十分にあるはず」
述べられたのは真実だ。油断していなければ大丈夫だったかもしれないのに……。
私の手から離れた剣が霧散した。
「ユウキ!!」
リデルが駆けてくる。
「来ちゃ……ダメ……っ。帰って……」
私は強制的にリデルを家へ送る。
「ユウk……」
・・・。
『馬鹿ですか?回復してもらえば……』
『そうだけど……、この状態は回復できるかな?』
たぶん、心臓を貫通してるからな……。
『だいたい神力で回復するでしょ』
『それもそうですね』
「な……、なんで……」
チコが何か怯えてる。
「なんで死なないの!?」
「いや、目茶苦茶痛いよ、これ。死にそうなくらい。まあ、とりあえず<抜きなさい>」
神力開放しながらお願い(命令)する。
カラン
ドクドク
「あ、血が足りない………や……」
そのまま私の意識は落ちた。
「んっ………」
知ってる天井だ。
「起きた?」
と、チコ。
薬品臭が少しする。
ここは保健室か……。
「いきなり倒れてびっくりしちゃった。あなたをここに連れてくるのも大変だったんだよ」
あれ、キャラ違くない?
「本音は?」
「あのあと殺そうと試行錯誤したけど意味なかったから……」
「ドンマイ」
「何か言った?」
「なにも」
たぶん、能力のせいだよな……。つかさが言うには全部らしいから、再生系統の能力がフル活用されたんだろう。
『ちょっと身体借ります』
『ああ、うん』
「1つ、あなたにしておきます」
「戦いはもう嫌だ」
「しませんよ。あなたを助けるだけです。そして、あなたの中の見知らぬ魂も」
「何を……するの……?」
恐怖に染まりつつあるであろう眼でこちらを見る。
「落ち着いて<動かないでください>。『天叢雲剣』」
「え、いや……殺さないで……」
容赦なく切る。
「え、あれ?」
傷はない。
「ふぅ。あなたと別の魂との繋がりを切りました。これであなたは魔法しか使えません。もう、苦しまなくてもいいんですよ」
天叢雲剣を霧散させる。
「で、でも……私は……また……爺さまに……」
『ちょっ……何があったの?』
『チコは才能がないとかで、糞じじいに酷い扱いを受けてたんですよ』
なるほど。
また、その時の状態に戻ったから……。
「あまりにも可哀相ですから、加護をつけましょう。仮にも神ですし」
「え……、そんなこと……」
「問答無用!!
我が女神の名のもとにおいて彼の者に魂の格上げ、及び魔力の加護と我が防御の術の使用を許可す」
そのまま、神力をチコに注ぐ。
「……っ!?……何を」
「あなたの魂を少し大きくし、魔力を同系統の輝色系へ、さらに神力の行使を防御目的のみ使えるようにしました。魂の格上げは、このためです。微量ならば耐えられる魂にしました」
そんなことできるんだ……。
「あと、今度、じじいを半ごr……説得しに行きましょう。夏休みにでも」
「ありがと……。でも殺しはよくない」
「じゃあ、今日は帰ろうか」
「あの……」
何だろう?
「戦った場所……、あなたの血で真っ赤だから片付けません?」
ですよねー。