185 危険な行為
すみません。遅れました。
前話から読み直すのをオススメします。
私はさらりと答える。
「神の特権ですよ。あなたの記憶程度なら対価なしに簡単に忘却させられます」
おい、そんなことしていいのかよ。
「いきますよ……。
かつて、大蛇を殺めるため、神より奉ぜられし全てを切り払う剣よ、その大蛇の血の罪を償い払うために我にその力を貸さん。『天叢雲剣』」
凄くシンプルで無駄なものをいっさい欠いた抜き身の刀が現れた。
『これは?』
『別称、草薙の剣とも言われてます。切れないものは、あまりにもない、です。日本の天皇の武力の象徴としての宝具に成り下がってましたが、神格化し始めてたので回収しました』
切れないものは、あるんだ……。
「いきます……」
私の身体が音を置いてきぼりにして移動し、マロンの翼を剣で撫でた。
翼の付け根に徐々に線が入り、切れ落ちる。
とにかく速い。
まさに一息の間。あ、とも言わせない。
「ふぅ、あとはチコだけですね。マロン、帰りなさい」
マロンはおとなしく消えていった。
「マロン!?」
「死んではいませんよ。まあ、回復はすぐでしょう。帰っただけですし、心配ないですね」
それにしても……
『よく、私の身体能力で人間離れした動きができたよね?』
『身体強化などの能力を全て使い、能力で能力強化して魔法で底上げしただけですよ。私の能力の多さならではの方法ですよ。まあ、まだ速くなりますけど……』
さて、
「チコ・ウォルド、どうします?私は逃げも隠れもしませんよ」
「こうなったら……、一撃で終わらせる。
我に仇なす全ての敵を灰塵と化す星の力よ……、」
この言葉は……
「無理矢理、魔力と霊力の波長をあわせてるんですね……」
『ごめん、疑問ばかりなんだけど』
『波長があわないと霊力が勝つ。あえば神力になる。それだけです。ただ彼女の場合、霊力は自分の魂から出ているわけではありませんので本来は波長があうわけありません。だから、無理矢理、と言いました』
「……我が神力にて剣となりて力を与えん。『レーヴァテイン』」
紅くシンプルな剣。それがチコの手に握られた。
「ダメです!!あなたの魔力が……、……あなたが死んでしまいます!!」
一振りでなにもかも灰にするだけあって被害も大きく、魔力も使う。
危険な行為。とめなければ、最悪、学校がなくなる。
彼女を生かす方法、それを考える。
「切りましょう。この剣は物理的なもの以外も切れますから、内在している別の魂と関係を断ち切り、ただの魔術士にしましょう」
先程マロンへしたのと同様、猛スピードで近付いて切った。