181 相手を知ろう
つかさが口を開いた。
「あたしの知る限りは全部かな」
沈黙が流れる。
「ゆーちん、全部開けると死ぬかもよ?ショックで」
「大丈夫。なんとかする」
『死にませんから』
『精神が持てばでしょ?』
『持たせます』
「じゃあ、いくよ」
つかさが私の額に手をあてる。
「終わったけど………大丈夫?」
「うん………なんとか……」
何度、意識を失いかけたか……。はんぱない頭痛が私をさっきまで襲っていた。
「心配しないで、つかさ。もう痛みはなくなってるから」
「ゆーちん、ありがと」
つかさが心配してくれたのは表情見ただけでも分かる程だったからだ。
「それよりも試してみましょう。つかさの言う通りなら読心もあるはずよ。それが大事なら今すぐにでもやってみるのがいいわよ」
真樹の言う通りだ。
鍵となる能力が使えなければ残念だ。
「で、どうやると分かるの?」
「トランプを使うのよ。あんたが私が引いて確認したカードをあてるだけよ。ただし、引いてないかもしれないし、引いたかも分からないように。優稀と同じ能力もあったなら分かっちゃうから。じゃあ、佐藤、トランプのシャッフルを」
佐藤が私には見えないようにシャッフルし、真樹と、ごそごそと何かをしている。
真樹が手を後ろにし、私の方を向く。
「こっちの準備はいいわよ」
読心“能力”を使ってみる。
・・・。
「真樹……、5枚引いて、エースのファイブカードになったんだ……」
真樹は5枚引いて各マークのエースとジョーカーを引いている、と思う。
「……私も驚いたわよ。とりあえず、成功ね」
ファイブカードとは……ポーカーをジョーカー込みでした時の最強の役。ロイヤルストレートフラッシュよりも強かったりする。
それを偶然引いたから……、すごい。
他にも優稀さんやつかさ、佐藤はおろか、命さんとも(強さは命さんには到底及ばないが)同じ能力があった。
『それでも、能力を強化する能力まであるのは分かりませんでしたね』
『そんなのもあったんだ……』
さて、戦闘開始は翌日だが作戦をこれからたてるらしい。
「作戦の要は……、パソコン組だ。相手に本城の妹がいる。奴以外を潰せ。で、こちら側はみんな防御に徹する。俺がやられたら終わりだ。後ろ側に近藤、真ん中付近に中島と本城ペア、前方には東城と田中ペアを必ず入れる。あとはバランスよくバラけろ。3枚の壁の中で後ろ2枚は近くに、前はやや離れろ」
そこまで言って、1人の女子から質問。
「何で攻めないの?」
「そうだな……、攻守に分けて闘うよりも戦力を消してからの方が相手には不利だからだ。下手に分けると集団戦法も有り得るからな」
どうやら納得したようだ。
つまり、固まって後で攻める作戦だ。
私たちも疲労するが集団戦法がとれるため、やや有利になる。個々には疲労しても人数差で絶対的に埋める作戦だ。
「ああ、あと近藤、例のやつ(恐らく『破魔陣』のこと)の範囲の拡大をできるようにしてきてくれ」
「分かった。やってくるよ」