178 まずは話し合いから。
前回のあらすじ。
(自称)勇者に殴り込みに向かった。
「では、私はこの男の相手をしますので」
「私はこっちだね」
私は女性の前に立つ。
「あなた、なによ」
「何が?」
「なんで魔王に……」
「倒せたら教えるよ」
「後悔はしないわよね?どうせあなたは魔法を使えない」
「じゃあ、これ使っていい?」
と、レーヴァテインを私は取り出す。
「ただの剣……じゃないわね。……武器よ砕けろ、ウエポンブレイク!!」
・・・。
「あれ?確かに魔法を使ったはずよ?なんでそれ、壊れないのよ」
『神の武器を魔法で壊せるわけがないです』
「神の剣だから、らしい」
「なっ……」
私は剣を霧散させる。
「でも、やっぱり魔法対決しようか」
「自分が魔法使えないの分かってる?」
「さあ?私には関係ないし」
魔法で適当な大きさの水の球をいくつか作り、それを私の周りで回らせる。
「きれいでしょ」
「な、なんであんたは魔法使えるのよ……」
「聖剣なんか私には意味ないし」
あんなの効かないし。
「ば、ばけもの……。まあ、あなたは見た目もそれなりだけど放っておくわけにはいかないわ」
「敵意がないなら戦う気もないけど」
「いや、あなたは倒さないとダメね」
あー、もう。
「………『破魔陣』」
「な、なによ、これ。魔法が……」
「使えない気分はどう?」
私は彼女に尋ねてみた。
「あ、あいつが神とか言うから私は……」
ついには泣き出した。
「詳しい話を聞かせて?」
神とかなんとか……、について聞くと
神から夢のお告げがあった。
↓
勇者になるために……。
無茶苦茶な……。
『私はしてませんよ?』
『面倒ごとは避けたい性分だもんね……』
「とりあえず、それは嘘だから。神はそんなこと言わないし」
「はあ?……あなた何様よ」
「うーん、………人間かな?………ごめん、間違えた。神様だった」
「はあ?えっ……と?」
「送るから帰りなよ」
私は彼女を無理矢理、故郷へ飛ばした。
「んで……、ミーシャ、大丈夫?」
「コイツ、強いよ……」
剣もボロボロにになり、今にも折れそうだった。
「じゃあ、あとは私が……」
「いや、私がやろう」
「ま、魔王様……」
マオがいつのまにかいた。
「こんな餓鬼が……魔王?まあ、いい。神のお告げ通りに片付けよう」
「ユウキ、そんなの(お告げ)やったのか?」
「いや、してないよ。コイツの妄想」
「も、妄想だと!?お前は何様だ!!」
「ユウキは人間だ。ただし、魂が神だがな」
「つまり、私の本質は神なんだって」
周りが沈黙する。
「嘘つくな!!証拠を見せろ!」
とは言っても……、
『代わってください』
『ああ、うん』
「では、あなたが勇者だという証拠はあるのですか?」
「この聖剣がなによりの証拠だ!」
と、自称勇者は剣を掲げる。
「それは聖剣ではありませんよ。聖剣には、いくらかの神力が宿っていて、さらに全て私の管理下にあります」
「なっ……」
驚くだろうね。
「では、証明したいのならそれで私を斬ってみなさい。私は神力を纏っていますので。仮に聖剣なら私は重傷ですよ。神力には神力かそれに準じたものでない限り干渉できませんから」
『えっ?斬られるの』
『あれが折れますから』
「死んで後悔しても遅いからな!!」
私にむかって振り下ろされたそれは、私に当たる前に細い木の枝のようにぽっきりと折れた。