177 得手不得手
「2人は何色なの?」
今、竜人の案内で移動している。
「私はお恥ずかしながら……黒なんです……」
「俺はルビーだ。古代魔法なら負けない」
「やってみる?」
「遠慮する」
そうこうしていると着いた。
-あの……敵の本拠地にいるんだけど……-
-そのまま頭を殺してきてくれ。私も暗殺者探しは飽きてきたから早く済ませてほしい-
-分かった-
それにしても……
「大きな門だね」
「[テラバースト]……」
炸裂音とともに門が粉々になる。
「よし、進むぞ」
「敵襲!!」
ばれました。
「魔王の側近と人間と竜人の3人だ。数で押せー!!」
『馬鹿ですね。ああ、試しに神力使ってみませんか?』
『ああ、うん』
『では、武器を創りましょう』
「我に仇なす全ての敵を灰塵と化す星の力よ、我が神力にて剣となりて力を与えん。『レーヴァテイン』」
私の足元に魔法陣によく似たものからシンプルな紅い剣がでてきた。
『私は剣なんか使えないよ?』
『大きく一回振るだけですよ』
試しに相手側にむけ、横に大振りをする。
「えいっ」
バァァァァァァァン
と、とんでもない音がして目の前の敵が全て灰になった。さらには奥にあった城壁(石造り)も消し飛んだ。
なんなの、この剣、怖っ。
「な……、逃げろー!!撤退!!」
何かを散らすかのように逃げられた。
「ユウキさん……な、何ですか?……先程のは」
「私も知らないよ」
『これは神剣の1つで、どんなものも灰になります』
『やっぱり怖いよ!!』
『しかも振るだけでかなり魔力消費します。先程のですとリデルの魔力が空っぽになるくらいです』
『私以外に使えるの!?これ』
『優稀さんならできますね』
「……神剣らしいよ」
「わ、私にも使えるかな?」
「命が惜しくないならどうぞ。リデルの魔力がさっきの1発で空になるけど」
「やめておきます」
「ところで相手は誰なの?」
「人間だ。魔王を倒すだ、とかなんとか、俺は勇者だ、とか言っていたぞ。実力もある。口だけではない」
マオは何もしてないと思うな……。
………って、
「人間!?今頃そんなことする人いるの?」
「たぶん、お前から見たら異世界の人間だ。まあ、おおよそ自分の世界の魔物の被害が魔王からの命令と勘違いしてるんだろうな。魔王様はそんな馬鹿なことしない」
「私もそう思います」
これは懲らしめないとダメだな。
何だろうか……、コイツらは。
「そうか……貴様らが魔王の……。おい、女。人間なのに何故魔王の味方をする」
私にリーダー的な奴が聞いている。
「なんでって………。そっちこそ何で狙うの?」
「質問しているのはこっちなのよ!まあ、いいわ、私は付添人だから」
女魔法使いのような人が言う。
「だいたい見たこともない、くだけた服を着て戦うのか?女」
戦う気はないんだけどなぁ……。
「俺は魔王を倒し、名声とともに一生語り継がれるため、世界の平和のためにここへ来た」
「私はお門違いではないかと思います」
ミーシャが突っ込む。
私も同感。
「ふん、言っていろ。貴様らは所詮、魔法が使えなければ雑魚だ」
人の話を聞けよ。
「この聖剣には魔法を封じる力があって周囲では貴様らの魔法は使えない。俺の任意でできるから貴様らだけだ」
自称勇者が高笑いする。
「私は剣一筋ですから問題ありません」
と、ミーシャ。
「俺は……逃げていいか?」
「ん、いいよ。達者でね」
「すまない」
これで2対2だ。