172 ごっどのうず。
女神の展開した陣は魔法を使えなくするものだった。
「何よ、これ」
「佳奈、解いちゃったよ……」
「マオに任せるしかない」
「あれはユウキであるか分からん……」
マオは悩んでいた。
「私があなたの主人でなければ関係が切れるんじゃないの?」
{この会話もできるし}
「そうだな……。すまんな、ユウキ」
「ありがと、リデル」
「ユウキではないな」
『私はマオ、って呼んでるんだけど……』
『すみませんね』
マオまで敵になったら……
やばい。
「魂とかで判だ……」
「だから、殺さん。殺したところでユウキも死ぬだろうからな」
「はあ……。リデル、あなたはそこまで落ちぶれてしまいましたか?3258年前のあの時の判断は嘘でしたか?気まぐれですか?」
何があったんですか。
「………」
「だいたい、私は有希です。それも分からなくなりましたか?」
「魂は有希かもしれん……。だが、魔力を扱う者は霊力を扱えぬ」
『リデルは学習不足ですね』
そうなのか?
「どういうことよ」
と真樹。
「魔力と霊力は反するものと云われている。魔力は霊力に掻き消されるから同時には持てぬ」
「『云われている』だけです」
「どういうこと?」
と佳奈。
「魔力は魂に宿る、と過去に私にリデルは言いましたね。それは正しいです。そして霊力も同じです。
けれど、同時には許容量を超えてしまうためできないのです。
だから、霊魂なために霊力が優先され、魔力は掻き消され、また、魔力の保持者は霊力には勝てないのですよ。
そして、魂が自己を守るために退ける。それだけのことです」
そうだったのか………。
「じゃあ何であんたは使えるのよ」
確かに……
「リデルは薄々気付いていますよね」
「マオ、どういうこと?」
と愛が聞く。
「神だ」
「paper?」
「それは紙だ」
真樹にそう答えるマオ。
「でも、何でお姉ちゃんが神様なの?」
『そろそろ、命さんを……』
『大丈夫ですね、起こします』
「ん……」
「命、大丈夫?」
真樹が真っ先に気付いた。
「私が起こしました」
と女神。
「何でよ」
「命は私を知っているからです」
「そうだね、有希さんじゃないよね。いや、有希さんかな?ね、女神様でしょ」
「「「女神!?」」」
3人が驚く。
「そもそも神力を魔力と霊力に分けたのも私です。人間などの魂は神力には耐えられません」
「な、なんで神様が有希に乗り移るのよ」
「語弊がありますよ。乗り移ったのではなく転生です。だから、私は有希なんです」
『ねぇ、そろそろ返して』
『分かりました』
「ということらしいよ。私も今知ったけど」
「あれ、有希?」
「愛………、八つ裂きにされたい?誰の四肢を吹き飛ばす、って?」
「ご、ごめんなさい」
「真樹、心配かけてごめんね」
「私こそ……」
「それより、結界を解いてくれぬか?」
「ああ、女神に解き方聞いてないんだけどさ……」
『解』
女神が言うと解けた。
『迷惑かけましたね』
『本当に迷惑だね』
「解けたよ」
「さっきのなに?」
命さんが聞いてくる。
「霊力を使って何かしたらしいよ」
「ふーん。ところで人間の有希さんは神力に何で耐えられるの?」
私が霊法使ったことはノータッチらしい。
『分かりますよね?』
「転生は前世からの魂をベースになるから神様ベースだし使える、らしいよ。そう女神が言ってるし……」
有希は、また一歩チート化しましたとさ。