156 拒否権なし
肝心の出場競技をまだ決めてない。
僕は何に出ようか。選択権があればだが……。
「お前は両方だな」
佐藤が僕の肩を軽く叩く。
「選択……」
「ないわ!!」
真樹が言ったよ……。
「一番てこずる奴らはBだ。変化系能力保持者のオンパレードだからな。大将もどちらかの島田でくるはずだ」
ここでルールを紹介する。
騎馬戦
・制限時間なし
・鉢巻きが取られるか騎乗者の落下(接地)で失格
・大将は1人
・大将が鉢巻きを取られたら負け
・大将が鉢巻きを取られてなければ降参以外続行
・能力の使用は許可するが大怪我を負わせた場合、失格とする
・騎馬が崩れ落ちても騎乗者が落ちなければ組み直しは何度しても良い
・能力による飛行はありとするが騎乗中に取った鉢巻き以外は認めない
・その他詳細は審判に準ずる
騎馬は4人で1組だ。
棒倒し
・制限時間なし
・配置などは自由とする
・棒先が地面についたら負けとする
・能力の使用は許可するが大怪我を負わせた場合、失格とする
ちなみに棒はもちろん指定されている。
参加割合は騎馬戦がほとんど女子、棒倒しはほとんど男子の戦いだ。
なんでも参加する少数の女子の体に触りたいとかなんとか……。事故として。
迷惑窮まりない。触られる身にもなってほしい。
「だから、あんたが出るんじゃない。あんたなら触られても平気でしょ。私は嫌だけど……」
嫌なんですけど……。それとこれとは話が違う。
僕だって………本来は女の子だし、気分も悪くなる。だけど、みんなはそれを知らない。知ってるのはここでは愛と真樹とつかさぐらいだ。
ましてや、それが嫌なのを理解できるのは何人たりともいない。
「……有希、ごめん」
真樹がいきなり謝ってきた。
「有希がそんな風に思ってるなんて考えてなくて……」
「分かってくれたならいいよ」
僕は優しく慰める。
「あの………そこ……いいか?」
佐藤に指摘される。
「あ、ああ、うん」
ヤバイ。優稀さんとつかさどころか愛からの視線も痛い。
「中島め、本城を泣かせたぞ……」
「でも、見てみろ。泣き止んだ……」
「畜生、いちゃつきやがって……」
陰口が丸聞こえだ。
「あんたら、文句あるの……」
真樹が殺気剥き出しで聞く。
「「「い、いえ。ありません!!」」」
分かりやすいな……。
「ある!!」
「あります!!」
優稀さんとつかさが言い放つ。
「ゆーちんはあたしのだ」
「いいえ、私のです!!」
「いや、私のよ!!」
真樹がくっついてくるのを引きはがそうとする優稀さんに、対抗して抱き着くつかさ。
「中島は三股だったのか……」
「贅沢な奴め……」
「「「うるさい」」です!!」
その言葉の後に佐藤が割り込む。
「えっと、な………いちゃついてもいいが……話を進めてもいいか?」
「あ、うん。気にしないで」
僕が返事をした。