152 企画外の校内喧嘩
「ほら、ユウキを放せ」
マオが言う。
「どこから入ったの?あなた、小学生でしょ」
真樹が言う。小さい子相手にしては厳しい口調だ。
「ユウキ、コヤツは何者だ?さっきから見てたがいらつくから消していいか」
マオが魔力を開放する。
「ほぅ……言うじゃないのよ……」
真樹も開放する。
「……くははは、話にならん。魔法を使うまでもない」
マオは笑ってそう告げた。
「真樹、あたしも手伝うよ。ムカついた」
「有希くん、あれは誰なんですか?」
「ああ、後にしてみようか。争いごともたまには必要だし。なんか戦いたがってるし」
「私は待てません……」
優稀さんが、焦らすな、と言う。
「まあ、愛に聞けば分かるけどね」
「東雲さん、知ってるんですか?」
「知ってる……。でも先に彼女に潰されてみれば?……。最近、魔法に過信しているだろうから本当の戦い方を知ればいい……。そのうち必要になるかもしれないから……」
「それなら倒して吐かせるわよ」
「そーだね」
「いきましょう」
こうして、マオと3人の対決が始まった。
もう、戦う理由を失ってる気がする。
-気にしたら負けだよ、有希-
-そうだね-
………………………。
「あんた、魔法は使えるのよね?」
「ふん、使う必要などない。どうやら戦闘経験者もそこの1人らしいからな」
マオがつかさを指差す。
「黙って降参しなさい!」
真樹が跳び蹴りを放つ。いや、踵落としだ。……見えるよ、真樹。
「有希、後で覚えてなさい」
マオの頭に……いや、直前で片手だけで受け止めた。
「キレがいいな。だがまだ威力が足らん。ユウキに何か言っている暇はないだろう?」
「真樹、どいて。あたしがやる」
つかさが真樹の上を飛び越えて踵落としを繰り出す。……だから見えるぞ。踵落としも好きなのか?
「つかさちゃん、援護します!!」
優稀さんの魔法でつかさの速度があがる。
ガシッ
「あれ?」
マオがつかさの足を両手で掴んでいる。
「硬化に加速に強化か……。そこまで必要なのは分かるが威力しか足らん」
バキ
「ーっ!!」
つかさが言葉にならない叫びをあげる。マオがつかさの足を握り潰したからだ。
「ツカサの血はなかなか美味だな……」
つかさの足からは血が止まらない。咄嗟につかさが自分で治したけど、まだ中身はボロボロだろう。
「つかさ、大丈夫!?」
真樹がつかさに駆け寄る。
「よくもつかさちゃんを……。真樹ちゃん、治療よろしくお願いします!!」
優稀さんがマオに向けて何かを口にする。
「…………ごめんなさい」
途端、マオの左腕が爆ぜた。
「ほぅ……、魔力をそれに溜めておるか……。邪魔じゃ」
パン
優稀さんの腕のアクセサリーが砕けた。いや、マオがただ無理矢理砕いた。魔法を使わず、素手で。速い。
「あ……」
「これで戦力外だな。では……」
マオが真樹の方へ歩いて行く。どうやら、まだつかさを治せていないが。
「マキとやら、相手が悪かったな……」
「何を……っ」
真樹がマオの顔に拳を飛ばす。
当たった……。
「かゆくもないな……」
そのままマオはその拳を掴み、握り、砕いた。粉砕骨折だろうな……。
「さて、どうしようかの……。まだユキとやらは戦う意志があるらしいな……」
「真樹ちゃんにつかさちゃんに……絶対に許しません……」
「じゃが戦力外には変わりないからな……」
「魔法を使わないんでしたよね……」
「そうだな」
「……では、使わせれば勝ちですか?」
「それでいいぞ」
「そうですか……」
優稀さんは砕けたアクセサリーのかけらを拾って元に戻して再度はめた。………あれ?どうやって戻したんだ?
「最近、気が付きました。私はこれに頼っていましたが何だか使いづらかったことに……。何だかこれが力を出すことに抵抗をかけているようでした。でも、実際は逆で扱いづらかったんです。それで、先程までは有希くんの魔力は魔法が使える程に溜まってはいなかったんです。微量なものが邪魔をしていたんでしょう」
どういうことだろ?