145 博識でした……
前回のあらすじ。
使い魔ができて、唇を奪った。
その後、愛は逝った。
こうして契約し、愛は殺させた。
「人間は弱いな……」
「はいはい、弱いですよ」
愛に蘇生魔法をかける。じじいとともに。
「これでいい?生き返らせたけどさ」
「一回殺したから満足じゃ!」
愛は不満そうだが。
「死ぬかと思ったよ」
いや、死んだから。
「ところでユウキは何かわらわに願いはあるか?使い魔になったのも何かの縁、多少ならば許そう……、……いや、偉そうにして済まぬ」
「とりあえず、喋り方はどうにかならない?」
「………喋り方か……喋りにくくてな。わ、私とでも言えばいいのか?」
私は頷く。
「あと、もう人は殺さないこと。ここは魔界とは違うから……。あと魔法も極力使わないこと」
「不便だな」
「そんなものだよ。まあ、たまに魔界に帰りたければ帰ってもいいから。たまには、ね」
「すまんな」
「あとは逐次言うから」
「うぬ」
…………………。
「じゃあ悪魔と吸血鬼のハーフなんだ」
「母(吸血鬼)の血が濃いめだがな」
雑談中。結局、女の子なんだろう。話すのが大好きなようだ。
「人間は偏見が多いからな。別に吸血鬼に襲われた所で同類にはならん」
「じゃあ、あの話は嘘なの?」
佳奈が聞く。噛まれたら同族になるってお話のことだろう。
「血が混ざれば分からなくもないが……そやつは口に怪我でもしていたのではないか?」
そう言って笑う……えっと……
「名前なんだっけ?」
「長いから覚えないだろ。魔王だからユウキたちの国風にあわせてマオとでも呼んでくれ。とは言ってもいずれは名前で呼んでほしいがな……」
ありがたい。
「マオちゃんは何歳なの?」
「佳奈……だったか?女性に年齢を聞くのはこちらでは無礼と聞くが……まあ、人間換算で10歳くらいだ」
「実際は?」
私が聞く。
「ユウキに聞かれては答えざる得ないではないか……一応主人だしな。5000といくつかだ。正確には確か……あと237だな」
「じゃあ、魔法もたくさん知ってるでしょ」
「いや、あまり知らない。そもそも伝承では魔力は魔界からだが魔法は人間が考えた代物だからな。魔族は魔力をエネルギーとして、人外なことができるから、それを人間などが真似たのが始まりだな。ちなみに私は闇に紛れることができたり人の認識から外れたりできる。それと私と契約したからユウキも使えるぞ。そして、互いには無効だ。まあ、だから魔界の奴らは基本的にはこちらで言う古代魔法しか使えないな。私はやや現代魔法も使えるな」
ここでじじいがくちを挟む。
「わしにも詳しい話をしてくれぬか……」
「ユウキが許可すればな。主人の許可なくはできないな」
「ということらしいから。残念だね、じじい」
こうしてじじいのもとを去った。