141 決勝戦……
前回のあらすじ
お姉さんに勝った。
遂に決勝だ。
『さて、大賢者様が登場だーっ!』
なんか、爺さんが出て来た。
『相手は初出場にしてここまでやってきた中島有希ーっ!!』
歓声があがる。一躍、有名人かい。
『なお、今回のみルール無用とします。仮に死んでも生き返らせてくれますのでご安心を。では、開始!!』
なんて無茶苦茶な……。
「嬢ちゃん、魔力が少ないのぉ。白の割にはじゃが」
「無意識で抑えてるらしいです。私はまだ本気出してませんよ」
「嬢ちゃんが本気にならんとわしも面白くないからのぉ」
「今の1割は出しますよ」
白の魔力の1割は。
「そんなのじゃあ、わしに殺されるぞ?」
軽く笑ってる。
「どうぞ」
「一瞬じゃからよく見とくのじゃぞ」
そう言うと光に包まれて中からとんでもない早さの攻撃が……障壁に当たる。
「一瞬ではありませんね」
そこには若い、銀髪……いやたぶん白髪の人が大剣で私の障壁に剣を阻まれていた。
なんか若返ったっぽい。
『おーっと!大賢者様の攻撃を防いだーっ!』
「ぬぅ……なかなかやりおるな。先程の試合は見せてもらったがの、あれは何じゃ?白のレベルでもおぬしはかなり上じゃな?輝系にかなり近いレベルじゃな。所詮は白じゃがの……」
「どういたしましてっ」
剣を弾く。
-愛、もう素の魔力でいい?-
-何で?-
-じじいを殺るため-
「じじいとは酷いのぉ。だいたい素の魔力とはなんじゃ?」
読心するな。
「私は魔力が白ではありません」
「受付の時は白じゃったろ?」
「はい、そうですが」
「とりあえず白にしては多いと思わなかったんですか?」
今でも実は1割未満だ。いや、1%未満かもしれない。
「白の限界を超えてはおらん」
それに少し感化されて、徐々に解放する。
まずは染色系の限界を超える。
「おぬし……まさか輝系魔力なのか……」
「ルビー程度でしょうか?」
「まだ上か……。読心すれば分かる話じゃった……」
読心されたからできないようにして……さらに解放するか……。それともこのまま殺るか。
「おぬし、本当に何者じゃ……。魔力を変えられる者なぞ……いや……まさか……」
「しょうがないですね……あなたの予想はあってると思いますよ」
魔力を1割程まで解放する。今度は金、つまり相手と同レベルで。
「金……じゃと……」
「ぼうっとしてると怪我しますよ!」
氷の塊を連発する。
「戦闘馴れしとらんのぉ。氷は溶けるだけじゃ」
……爆裂しろ。
氷の塊を炸裂させる。これはただの囮。
「もらったぁぁぁー」
転移して、真上から風を付加したプラチナの剣を下にし、落下する。
「温い!!」
剣が雲散霧消し、私に剣が突き刺さる。私は重力による加速で余計に深く、まさに串刺しにされた。
「もう終わりかの?」
「まだですよ」
私はそれをただ見ていた。その串刺しにされたのは偽物。ただの魔力の塊。それを私が私に見せて操っていただけ。
「いつからじゃ……」
「魔力の話をしてる時ですよ」
私は、にぃと笑う。
……トべ。
大きな爆発音とともに身代わりが爆発し、強烈な魔力波を生み出すがそれをじじいごと障壁で囲い、威力を極限まであげる。
「嬢ちゃん、やり過ぎじゃわい……。お陰でもうほとんど魔力が残っとらん……が、純粋に楽しいわい!」
私の足元に魔法陣が広がる。
「やばっ……」
「死ぬがよい……」
上から死を感じさせる強烈な闇の柱が私に襲い掛かった。