126 オウム返しは止めよう……
「つかさ、早く……」
振り絞ってだした声はあまりにも情けなく、つかさの耳に届くことはなかった。
もう、つかさのことしか考えられないかもしれない。
その時、つかさが僕の腕にに何かを嵌めた。
強すぎるつかさへの想いが普通の状態に戻っていく。
「あたしができることはこれしかないからゆーちん、あとは自分でやって」
つかさ印の退魔の腕輪がついていた。もうひびが入り始めている。
落ち着いてから変身。退魔を打ち破る程度の魔力で魔法を解いた。
「つかさ、ありがと」
粉々になってしまった腕輪。
それに対して私とつかさの仲は前より強くなったかもしれない。
そして、自分の強さと魔法の恐さを改めて、身をもって知った。
……………。
「ゆーちん、ごめんなさい……」
「いいよ、もう済んだことだから」
………………。
「で、さっきゆーちんに抱き着かれた時に分かったんだけどさ、ゆーちんはもう1つ能力持ってんじゃねーの?」
いきなりだな……。
「でもこれを公にするとゆーちんが更に多忙になっちゃうな〜」
「何の能力なの?」
気になる。
「感覚系の能力だよ。あらゆる音が分かって、あらゆる楽器が扱える、っていうばれたら殺到される能力。でもね、ゆーちんが女の子じゃないと持ってない能力なんだよ。ゆーちんが抱き着いた時には感じなかったからピン、てきたんだ」
そういえばいつも事足りる(どうせ合唱は女声部になる)からって男の時にしか音楽を受けてなかったっけ。
「で、助っ人の要望が来ると?」
「わざわざ目安箱の中身を増やそうとしなくてもいいじゃん?だから、あたしはゆーちんに負担が増えないために言いたくなかったんだよ」
「ありがと」
私はとりあえずお礼を言った。
…………………。
「やることねーな」
「ないね」
「ゆーちん襲おっかな」
「やだね」
「暇だね」
「そうだね」
「寝る?」
「まだ早いね」
「じゃあゆーちん襲うね」
「そうだね」
・・・。
「じゃなぁぁぁぁい!」
「ふっふっふっ、ゆーちん覚悟!」
「いぃぃやぁぁぁぁぁ〜」
つい、おうむがえししてしまった!私のいや、僕の……。誰か助け……てくれる人いない!
「ほらほら〜」
「ちょっ……タンマ!あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」
「やっぱりゆーちんは女の子じゃないと……」
しまっ……、
「やぁ……ぁ。つかさ、お願い……」
「ここがいいのかぁ?ここが」
「違っ……止め……ゃあ!」
「止めて……、だって〜。ゆーちんは可愛いな〜。………畜生」
「えっ?…なっ……痛っ!ちょっと待っ……」
・・・。
地獄でした。