111 速読なんて……
つかさは目を点にしている。何せ広辞苑くらいあるからな……。
「読めるの?」
「つかさ、使えるようになってもお金は作れないからね」
「な、なんで……!……あっ」
やっぱり作ろうとしたな。
「真樹も作れないからね」
「何でよ!まあ、私は作る必要はないけど」
金持ちだしな。
「ちなみに僕と愛、綾ちゃんに佳奈は作れるよ」
「お兄ちゃん、佳奈、弱くてできない……」
佳奈がお茶を持って帰って来た。そういえばいなかったな……。
まあ、優稀さんとつかさは佳奈とは初対面だから挨拶をある程度済ませてから本題に移る。
「つかさ、読んでみなよ」
「あたしこんなに読めないよ〜」
「厚いだけだから……」
実際、図もたくさんある。
「読めばいいんでしょ……」
つかさがせっせと読み始めた。
「ねぇ、さっきから何か色について言ってるけどさ……、なんでわざわざ撮るの?私は見えるよ」
色まで分かったんだ……。
「東雲さんが何かないよね。で、それを治したいわけだよね」
ちなみに悠々とトランプしてます。
「近藤さんは何でそこまで知ってるんですか?」
「いや、私はこんなことあまり言いたくないんだけどね、霊感みたいなのが強くてそういうのが見えるんだよ。でも……あまりこんな話すると変人扱いされるから言えなかったんだよね〜」
「た、大変だったのね……」
「近藤さんって凄かったんだ〜」
真樹の後につかさが口を挟む。
「つかさ、読み終わったの?」
「そうだけど使い方がいまいち……」
「感覚的だから教えようがないからね……」
「もう、なにやってんの?東雲さんを起こすんじゃないの?」
近藤さんがぶちギレ。
「東城さんの緑だから相性あってるから早く!」
「えぇ〜、せめて使い方だけでも……」
「じれったい!」
近藤さんがつかさの肩を叩いて緑の石をどこからともなく出した。
「なによ、それ?」
「ふぁ、なんだか力が抜けちゃったよ〜」
「東城さんの魔力。私の能力で固めただけ」
普通は目に見えなくても変えられるらしい。恐ろしい。
「で、どうするの?」
僕が聞く。
「どうしようね」
それはあんまりだろ……。
「とりあえず飲ませればいいよね」
近藤さんが愛の口に無理矢理押し込んで水を注ぐ。下手したら死ぬぞ?
ゴクン
そんな音が聞こえた。意識がないはずじゃ……。
「中島くん、成功したみたい」
愛の目がゆっくりと開いた。
「うぅ……ん……」
愛がゆっくりと起き上がった。
「あぁ……あ〜。……あれ?」
決して寝ている人に無理矢理、ものを呑ませないでください。
最悪の場合は気管に入ったりして危険です。