106 同じようには続かない……
今、この場は沈黙だけによる支配が続いている。既につかさのが愛の召喚獣の後ろにいたときはつかさは勝利を確信していた。でもそれは甘すぎた。
「のんびりしてていいの?……」
突然、沈黙を破った愛の言葉。最初は理解出来なかった。つかさに至ってはしたくなかったかもしれない。
東城つかさ
体力:39542/63250
「え?…………」
「分かっているものは避けやすい……。私はただ軌道上に武器を残しただけ……」
「次はもうないよ」
「そう……」
刹那、愛のが両断された。
「あたしの勝ちだよね?」
「甘い……。それは分身……」
つかさは愛の能力を知らないからな……。
ぼぼぼぼぼぼ………
そんな擬音が似合いそうな分身の多さ。
「68対1ってやったことある?……」
「ねぇよ……」
超高速対超多勢のバトルが始まった。
「で、中島見えるのか?」
「うん、全然見えないよ、佐藤」
「有希くん、東雲さんの様子がおかしいですよ?」
始まってから数分してからだった。言われてみればそうだ。さっきから顔色が悪くなってきている。
「はぁ……はぁ……、しつこい……」
分身も半分以下になってるし動きも鈍ってきている。
東城つかさ
体力:2548/63250
もう少しで決着が着きそうだ。
その時だった。
東雲愛
-LOST
初めて見る表記。それは負けを意味しているのは分かった。でもそれならば
東雲愛
-LOSE
となるはずだ。愛のやつが本体を含めて全部消える。
「はぁ……はぁ……」
肩で息をしている。
「んじゃ、今度に持ち込みで今日はもうやめよーぜ」
「僕が愛を保健室に連れてく!」
「うぅ……」
「待った。あたしも行く。責任はあたしにもあるから」
「佐藤、教師たちに連絡しておいて!」
「言われなくてもしておくつもりだ」
〜保健室〜
幸い熱もないらしく、まだ体調が悪いようなら早退すべきだというのが保健室の先生の判断だった。愛が早退するのならば僕も帰らなければならないが。
「なんか苦しそうな顔してるよね〜」
そう言ってつかさが愛の額に手をあてる。
「熱っ!な、なんで!?」
「そうなの?」
つかさは途端に手を引っ込めた。だが、僕も触ってみたが熱くない。
「コイツ、変な能力があんじゃねぇかな?」
つかさが熱いのを我慢しているかのようにもう一度手をあてた。
「んっ?」
「どうしたの?」
「ない」
「何が?」
「コイツ、能力がない」
「そうだね。だから?」
「召喚出来ないはずだろ?」
そういえばそうだった。
「ゆーちん、なんか知ってんじゃねぇの?」