101 戸惑う心……
その変な点は-出生欄-。当たり前だが産まれた子供のことを書く場所だ。
-名前-有希
これは後で書いたのだろうか。
-体重-〇〇〇〇g
-身長-〇〇cm
ここは見ないでほしい。が小柄だったらしい。
-性別-女
ここだ。見ての通り僕は男。だけど産まれた時は女?
-備考-能力あり。
ここもだ。僕の能力はつい最近に判明したはずだ。それまで誰も気づかなったし、能力検査にも引っ掛かってない。(実際は詳細検査まではいくことはあるが結局は陰性だった)
つまり、現在の僕との相違点がたくさんある。
ところでおばさんは何故ニュースを見ろと言ったんだ?このことに何か関係してるのは確かだ。思い出せ………
『乳児に実験段階で投与……』
乳児に実験?たしか……
『能力を封じることと……………できる薬』
能力を封じる?まさか……。
急いで能力者研究センターに声を変化してから電話する。
『はい、こちら……』
「中島有希です」
『!!』
向こうは驚いているようだった。
『き、君は確かに中島有希ちゃんだね?』
「はい、でも女性時にはユキと名乗っていますが……」
『君の安心が確認できてよかった……。君の両親からの伝言……いや、遺言というべきだろうか……、
「すまない」と……。君は紛れも無く女の子として産まれた。そして、私たちの実験データのために両親の許可をとり、投与した。君の能力は今は元に戻っているはずだ。あれは試作品だったからね。ちなみに戸籍は君の親戚が変えていったから……。どちらでも構わないように』
「待ってください。私はずっと男として……。だからその薬を投与して……」
『君にはもう効かない。耐性ができてしまっているだろう。10年くらいかけて……。すまない……。でも1つだけ……君はこれからも同じように暮らせるように可能性は残してある。本当に済まなかった……』
プツッ
声を治し、考えこむ。だけど答えを見つけるのは無理だ。少なくとも今すぐには……。
「お兄ちゃん、どうしたの?」
既に制服を買い終わった2人が顔を覗き込む。
「帰ってから……ちょっと聞いてほしい話がある」
そうして一応買い物は十分に楽しみ帰った。
〜家〜
「話は何?……」
「ああ、たいしたことじゃないかもしれないけどさ……、佳奈はしっかり聞いてほしいんだ」
「うん」
さて、驚くのか……。
「お兄ちゃんはね、本当はお姉ちゃんだったんだよ」
沈黙が訪れる。愛は少し納得しているが佳奈は頭に疑問符を浮かべている。無理もない。
「佳奈、よく聞いてね……」
それから佳奈には能力のことを話した。そして、さっきのことも。
「理解できた?」
「東雲お姉ちゃんだけがお姉ちゃんで少し寂しかったけど……、お兄ちゃんは佳奈のお兄ちゃんだよ!そして、お姉ちゃんだよ!」
ありがとう、佳奈。
「佳奈ちゃん、今日もお姉ちゃんと一緒にお風呂はいろっか」
愛がそんなことを言う。
「今日は1人で入るよ……」
どこか喜びの中に哀しみが含まれている笑顔で佳奈は答えた。
-じゃあ一緒に入ろう……-
-断る-
どうせ勝手に入ってくるし。
佳奈の台詞がなんか不自然な気がするです。