1 ひょんなことから……
9月下旬あたりのある日の休み時間に昨日、女子が
「卒業アルバムを見せあおう。」
と言うので見せあっていたとき
「わぁ、やっぱりかわいい!」
「ほんとに中島君かわらないね」
中島君とは僕のことだ。フルネームは中島有希。女子みたいな名前で結構昔は、からかわれた。
ここは、私立第一中学。そして、2のAの教室である。
「とくにこれはかわいいですね」
と言っているのは、田中さんだ。彼女は、容姿端麗、非の打ちどころがないと、言いようがない人だ。そして、彼女は、なんとも言えない色をした腕輪をつけていた。よくみるとまわりにもお揃いの腕輪をつけた人が、周りに何人かいる。
この腕輪は、ある特性を持つ人の中で、特に力が強い人などがつけなければいけないものだ。
無論、つけているということは田中さんには、力があるということだ。
ある授業中、(といっても今日だが)田中さんから手紙がまわってきた。
「放課後、体育館裏で待ってます。大事な話があるからかならずきてね☆」
見た瞬間、体中になにかがはしった。その後放課後まで放心状態だった。(授業はしっかり受けていたが)
そして、待ちに待った放課後。
体育館裏で待っていると
「ごめんなさい、遅れちゃいましたね」
と田中さんが息をきらしてやってきた。
「で、なんのはなし?」
僕は、あえて普通に聞いた。
「あ・・・あの」
戸惑っているが顔は決して赤らめたりしていない。
「な・・・何ですか?」
そして決心したかどうか知らないが、こういった。
「中島さんは、変化系の力があるのではないでしょうか」
ここで力について説明しよう。
力には主に2種類ある。
1つは、感覚系。これは、ようするに超能力でいう透視などがあてはまる。
もう1つは変化系で、体が小さくなったり、一時的に運動能力が大きくなったりするものなどがある。ちなみに田中さんは、前者で観察力が大幅にあげることが出来るそうだ。虫の擬態なども本来はみやぶれるらしい。
腕輪は、それらの能力を少し抑える働きがある。だから、田中さんは、普通ならどんな能力かまで分かるが、あるかどうか、かろうじて判るぐらいらしい。
「私、2つの写真を見て気付いたんです。なぜか、片方は斉藤さんと同じ位の背なのに、もう片方は、肩ぐらいの背くらいしかないんです」
「どんな能力があるかわかる?」
「それは…腕輪を外さないと…わかりません!」
「外そうか?」
ちなみに腕輪は、他人であれば外すことが出来る。
「どうしても知りたければ…」
そう言ったので
「じゃあ、外すよ」
と言って、外した。
田中さんが僕を見る。そして、
「あの…変われと念じてみてください」
そう言われたので目をつぶって念じてみた。幸い最近の服は、この学校の制服と同じで、能力に対応している。もし体が大きくなったりしても制服があわせて大きくなったりする。
そっと目をあけてみた。
そして、自分自身を見てみた。