第三章~高校生編~
今、俺達3人は俺自宅の前にいる…。以前も感じた、自分の家でありながら、居心地の悪さだ…。
「やっぱり、止めにしない?」俺は再度確認した。
「気にしなくてよくてよ?」ニコッ!相変わらずのお嬢様スマイル。ミレイは、一歩下がって俯いたままだ。こんなミレイを見たのは、あの時以来覚えがない。辛そうなミレイを見て、お嬢様には聞こえないように、耳元で、「『大丈夫?』」と声を掛けた。それに答えるように、俺の腕を抱き抱えて、「『うん…』」だけ言った。
「ただいまー。」ドアを開ける。少し遅れて、「おじゃましまーす。」ニコッ!
「おかえり、ヤスアキ。誰?友達も一緒なの?」と、リビングの奥から歩いてくる母親。
「う、うん。友達だよ、友達!だから、母さん来なくていいから!」なるべく見つからないように、リビングの方へ向かい、母親を制する俺。そして、お馴染みのお嬢様の呪文が炸裂する。
「司クン、友達ではなくて、恋人ですわよ。お母様、初めまして。司クンとお付き合いさせて頂いております、伊藤ナギサと申します。」ニコッ!
お嬢様…。どうすれば、そのような呪文を恥ずかしくもなく唱えられるのですか?
「まあ!ヤスアキの彼女さん?!凄くお綺麗な人ね。お嬢様みたい!」母よ、お嬢様みたいじゃなくて、正真正銘のお嬢様ですよ。
「ありがとうございます、お母様。でも、もう1人彼女がいらっしゃいますのよ。」ニコッ!
「え?もう1人?」とお嬢様の後ろに目線をやる母親。
「…どうも、ご無沙汰しております。その節はご迷惑お掛けしました……。」いつになく、張りのない声で話すミレイ。
「あら?お会いした事あるの?ごめんなさい、おばさん覚えてなくて。」申し訳そうに話す母親。そして、
「こちらの彼女ともお付き合いしてるの?ヤスアキ?二人とも、凄く綺麗ね。」何故か自慢顔の母親。ツッコミ事、満載なのに、バカな母親で助かった…。
「挨拶はもういいだろ?引っ込んでてよ?母さん!」リビングに押し返す俺。抵抗する母親。
「二人とも、早く部屋に行って?」母親からの解放をうながし、余計な詮索をさけた。
部屋に入り一息いれて、ナギサに言った。
「何でいきなり、付き合ってるとかいうの?」
「そんな事より、司クンとミレイさん、何か隠してることありますわよね?」
あれ?いつもの『ニコッ!』がない。こんな時のお嬢様は、呪文ではなく直接攻撃だ。
「何で二人、黙ってらっしゃるの?私が気付いてないとでも思ったのかしら?」珍しくお嬢様ターンが怖いと思った。ミレイみたいに、感情をぶつけるのではなく、静かでそれでいて、冷たく鋭い刃のようだ…。
「お二人に聞いても話してくださらないなら、お母様にお聞きしますわ。ミレイさんの様子を見る限り、何か関係があるみたいですから。」
背中が凍るような寒気がある…。二人を例えるなら、ミレイは炎でナギサは氷だ。
「な、何で内緒にするの……ですの……?」グスッ…
『な、泪!??』初めて見せた、お嬢様の泪だった…。
「ナギサ…、ごめんなさい…。隠してたつもりじゃないけど。私も今日まで忘れてたいたの。私のせいで、ヤスくんが…ヤスくんがーー……!」と声をあげて、大粒の涙を流し始めた…。
ミレイは静かに、時には嗚咽しながら、過去の事件を語り始めた…里子のことを……。
「話てくれてありがとう、ミレイさん。大変でしたわね…。二人とも…。」ゆっくりと冷静に話すナギサだったが、頬に流れた泪の跡がある。
「でもね、ミレイさん?私は二人も里子さんも責めませんわよ。むしろ、里子さんには感謝してます。里子さんのお陰で、司クンとミレイさん…そして、私をこうして結びつけてくださっっ………」ワーーン!!お嬢様が壊れた瞬間だった。
「ナギサーー!!ごめんねーー!!」
二人は抱き合って、ただ泣いていたが、この時やっと溝が無くなった瞬間だった…
ミ「みなさーん、ありがとう。あとがきのコーナーでーす」
里「。。。泣」
ミ「ちょっと、何泣いてるのよ。」
里「私の演技に感動して」
ミ「あのー、ちゃんと読んでます。どこにあなたの演技があったのよ」
里「みんなの心の中に」
ミ「む、難しい役処ね」
里「あと、悲しいお知らせが」
ミ「まさか、休載?!」
里「違うわ、もう二度と、私の出番がないみたいなの」
ミ「そ、そうなの。それは辛いわね」
里「同情しなくてもいいわ、いずれあな(ピーーー!)」
ミ「そ、それは言ってはだめよ!いくらあんたでも!」
里「言ってやるわ!(ピーーーーーーーーーーーーー!)」
ミ、里「おしまい。また見てネ。」