序章~中学校編~
里子に対する暴力事件を起こした俺は、学校と協議した結果、2学期から私立の中学校に転入することとなった。本当にこれが大変だった…。いわゆる編入試験ってやつ。入るだけならまだしも、入った後も…かなり大変だった。有数の進学校で、成績=クラス別に別れており、俺は一番下の2年F組に転入できた。
転入してきて、前の学校みたいにイジメ染みた事が無かった。全くなかった。だけど、中学生活ハッピー!とは行かず、毎日が、いや、毎授業がイジメよりキツかった…。
特に英語!ここの授業、授業自体が英語ですねん。ココドコ?!って感じ。英語の説明を英語でシマス。英語のテストを英語でカイテアリマス。クラスの人ミンナ外国人デスカ?ってくらい、英語で話してる。これでF組っていうから、半端じゃなかった。毎日、英語の問題を理解するために英語を勉強してた気がするよ。
家は裕福じゃないから、公立に通ってた訳で。私立の中学校に通いながら塾に通うだけの余裕はなかった。
お陰で毎日が大変でアッという間に、3学期の期末テスト…、即ち、3年のクラス分けの試験が始まった。俺は以前よりはいくらかマシになったとはいえ、やっぱり英語はついて行くのが精一杯だった。
月日は流れ4月…。俺は何と3年C組に居た…。元々理数系が得意だったのが功を奏し、苦手な英語の点数を上手くカバーできたみたいだ。
これから、心機一転…の前に、春休みに起きたちょっとした事件、いやいや、俺には大事件を忘れるところだった。
春休みに入り、友達の居ない俺は、散歩がてら近くの公園に桜を見に来てた。まだ、咲き始めたばかりで、蕾が殆どだったけどまぁまぁ楽しめた。
そして、事件の幕開けである。
バナナをチョコでコーティングした、ぼったくりの出店の前を通り抜けた時、
「あれ?司クン?」とキャッチの声。
『俺か?』と何気に横をチラっ!
「あ!やっぱり司クンだ!」走りながら、左腕に掴んでくる。はい、その腕に感じる懐かしいやわらかい感触…。心なしか若干大きくなってませんか?
「ミレイさん?」
「はい、久しぶりだね。元気だった?」
「うん、何とかやってる。」と挨拶交わしてたが、内心は心臓の音が聞こえてるんじゃないかったて程、ドキドキだった。
「良かったら、少し話そう?」と誘われて、歩きながら二人の近況を話したきがする。
そして、確信のあの事件の話になる…。自ずと二人から笑顔が消えた気がした。
そして、まずはミレイに謝った。嫌な思いさせた事…怖い思いさせた事…辛い思いさせた事…。兎に角ミレイに謝ってた。
「ううん、私の方こそゴメンなさい…わたしのせいで、司クンが転校することになって…」とミレイも謝っていた。
それからは、里子は夏休み後から復帰した事…、あれから嫌がらせとか全くしなくなった事…、以前と別人のように大人しくなったと教えてくれた。
最後にまた今の中学生活の話になって、勉強の話になって、教えてー?みたいなノリになった。
「春休み中だけでも教えて?あ!今から家に来て教えて?」とおねだりするように両手を引っ張る。もう、その時の上目遣いと笑顔は反則です。
それから彼女の家へ。そして、前人未到の地、彼女の部屋へと訪れた…。
正直、勉強何教えたの、何を話したか全くの記憶喪失ですわ。覚えてるのは、彼女の部屋の何とも言えない甘いにおいと、テーブルの前に座る彼女の顔と首元からチラッと見え隠れする下着…。ひたすら、素数を数えてた。
この一連の事件は春休みの間、続いてた…。
ミ「みなさーん、またお会いしましたねぇ」
里「ちょっと、おかしくない?」
ミ「里子、良かったじゃない、出番あって」
里「やっぱりおかしいわ」
ミ「何がおかしのよ?」
里「あなたが、ヒロインやってる事よ」
ミ「え?おかしくないわよ、私以外誰がやるのよ?」
里「そんな事言ってると、サクシャに消されるんだから、私みたいに」
ミ「そんなネタバレみたいな怖い事言わないでよ」
里「本当よ、当初私がヒロインやる予定だったのよ」
ミ「さくしゃの都合で変わったのね」
里「そうよ、男にだまされちゃだめよ」
ミ「だから、ネタバレって言ってるでしょ!」
ミ、里「おしまい。また見てネ。」