幕間 少女と部外者
ある少女がいた。少女は、過去の恐怖から、少女である自分を隠していた。
真夜中。
「誰!?」
少女が動揺してそう言う。彼女以外誰も居ないはずの場所で、何かが動いた音がしたから。
「何も...居ない...?」
「そう。何もいない。そして、君は何も見てない。」
「貴方は...」
少女のアパート、10階建てのマンションで、1人の女が彼女の部屋のベランダにいた。
「このセカイでは、こういうことを起こすなんて簡単にできる。」
「何者なの...早くここから出ていって!」
「君はいつまで隠れるつもりなの?」
「いいから!早く!私の前から消えて!」
『少し黙れ』
「あっ゛...」
声が出なくなる。謎の力によって。
「いいかい?このセカイには二つの力があるんだ」
「一つ、君たちが当たり前のように使う能力。これは個人のもつ意識の最も強い部分を示している」
「二つ、強い想いによって望んだ力が具現化する。意志の力だよ。どんなに可能性が低くても、想いの強さがあれば、どんなに状況が最悪でも覆すことができる」
「君はかつて、とある少女に囚われていたね」
「な...んで...そんな...ことを...」
『無駄口はいい正直に答えろ』
「ぁあ...はい...、その通りです...」
「でも君はそこから出たいという強い想いを持ち続けた。そのお陰で今の君があるんだ」
「...」
正直何を言っているのかわからない。
「ただの玩具に成り下がるはずだった君は、意志を、人間を人間たらしめる力を持ち続けたから、救われたんだ」
「安心しなよ。隠す必要はない。セカイは君を受け入れてくれるさ...」
気がつくと朝。女は消えていた。
でも結局私は、隠れることしか出来ない。
恐怖を拭いきれない。
誰か、助けて...
少女にとっての救いとは