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序章
忘れないで____
今日もまた、同じ夢をみた。
僕に向かって発せられた聲。僕は聲の主を探すことが出来なかった。
聲の主の方へ手を伸ばしてみても、走馬灯の様に消えていく。
僕はだるい身体を起こしベッドから出る。
リビングには既に朝食が用意されてあった。僕は慣れた手つきでレンジに朝食を入れる。
重い瞼を開けるために洗面台に向かう。
鏡には寝癖の酷い僕が映る。我ながらあっぱれな寝癖だ。
顔を洗い朝食を食べる。いつものことだ。
僕は母親と8つ離れた姉の3人で住んでいる。
姉は社会人なので家には母親と2人だ。父親は3年前に病気で他界した。
空いた皿を下げ制服に身を包む。
ここから近い梅咲高校に通っている。
僕は用意を済ますと家を出た。