プロローグ
あれは自分がまだ幼きの日のことだった。村では、収穫祭のために村民一人一人が準備に追われていた。
自分は村一番と呼ばれる獣追い人の父と一緒に村近くの森で収穫の神に贈られる獣の肉を探す手伝いに来ていた。一日中森の中を歩いていたが、獲物は見つからなかった。
そして、日が沈みそうになる頃には村と森をつなぐ道の中間にある小さな小屋に立ち寄った。その晩、事件は起こった村の方から人々の叫び声とともに獣の咆吼が辺り一面に響いた。
父と自分はそれを聞いて飛び起きた。父と自分は小屋を出て、急いで村の方へ走った。あたりはまだ暗く、道を外れないように父が持つランプの光のあとを必死に追いかけた。
村に着いた時には、自分の目に飛び込んだ光景に驚愕した。村が壊れ、血だらけになって人々が倒れていた。その中にまだ息をしている者がいた。自分と父はその人の元に駆け寄って原因を聞き出そうとした。
その人は今の現状を伝えようとした。
「お...御主たちか...村はたった一匹の獣...いや、怪物によって襲われた。怪物は御主たちとは反対側の森から来たらしい...不幸中の幸いだな。ゲホッ!」
「もう良い!それ以上話すと傷に触る。」
「今からでも遅くはない逃げるんだ...早くしろ...ゴホッ!ゲホッ!」
必要な情報を父と自分に伝えて、しばらくしてその人は息を引きとった。
父は言った。
「テナンよ、私はここに残り同胞たちの仇をとる。だからお前は先ほどの小屋に戻れ。あそこならある程度の生活できるものがある。」
「父さん...」
「行くんだー!」
父の怒鳴り声とともに、自分は村の出口に向かって全力で走り出した。
ある程度走ったところで村の方で大きな爆発とともに奴の咆吼が聞こえた。怪物の背中には小さな人影が乗っていた....
あれから20年後。..たまたま通りかかったキャラバンの一家に拾われ、自分はその家で用心棒として雇ってもらった。
「おーい!テナン。もう出発するぞ!いい加減に起きろよ!」
ギムレットさんが朝から元気よく声を張り上げてる。そろそろ起きる時間かぁ...テナンは目をこすりながら体を起こした。
「あともう少ししたら、街に着くんだ。息子共も起こしてくれ!」
自分は軽く返事を返し、ギムレット叔父さんの息子達を起こしにテントに向かった。
「おぉ〜!よくもまぁぐっすりと寝ているなぁ〜!おい、起きろよ〜!」
自分は寝ている子供達の頭を軽く蹴った。
「兄ちゃん、もう朝なのか〜!もう少し寝かせてくれよ〜!」
「だめだ!アッシュ。お前の親父さんが出発の準備をしているんだ。もうすぐお前の故郷に着くんだから...」
「わかったよ〜。ほら、クレアももう起きるぞ。」
そして、アッシュは隣で寝ている妹の体を軽く揺すり始めた。
「ふぁ〜...。お兄ちゃんもう朝なの〜?」
「そうだよ。テナンの兄ちゃんが起こしに来たろ?」
「う〜ん...」と、クレアは目をこすりながら起き始めた。
「息子達、テナン、朝食食べたら国に帰るぞ!」
ギムレットさんの一言で俺達は急いで朝食を食べ、馬車に乗った。
馬車は俺達を乗せて、ゆっくりとギムレットさんの故郷[林の国]に向かった。