上には上がいる、解ってるんだよそんなことは
「今日は特別講師が来てるぞ」
ペド担任が授業の始まりにそんなことを言った。というかLHRの特別講師ってなんだろうか。ちょっと意味が分からない。
「では後は宜しくお願いします」
そう廊下の方に呼びかけると一人退室していく担任。特別講師とやらは姿を見せない。
「おい来ないぞ」
「来ないな、寝坊か?」
「バッカお前、まだ廊下にいるんだろ」
「イケメンだといいなぁ」
「トイレ……」
「おっぱいデカい子で頼む」
ざわつく教室内、誰もが来ない特別講師に対して妄想を膨らませる。すると程無くしてその特別講師は現れた。窓から。
「皆さん初めまして~~特別講師のグレイト皇です……」
なんか濃いのが来た。そして急にテンションが下降気味だ。
「今日は皆さんにダンスを教えたいと思います……」
「せんせ―質問いいですか?」
「どうぞ」
「グレイトが苗字ですか? それとも皇?」
「苗字は川島ですけど」
「えっ? つまり名前は『川島・グレイト皇』ってことですか?」
「いや名前は玲子ですけど」
「グレイト皇とは」
「私に聞かないでください」
……なんだこいつは。過去最高にクレイジーだ。クレイジー川島とでも名乗ればいいんじゃないだろうか」
「……あっ、クレイジー川島です」
なんか改名してきた。と言うかエスパーかよ。
「先生、ダンス得意なのか?」
俺は思い切って聞いてみることにした。目の前のおっぱい魔神に。
「大好きです」
「いや、得意かどうかをだな……」
「あなたのことが」
「初対面でなにほざいてんだ」
「タイプです……すいません」
「お前のタイプは聞いてない」
「吊り上がった目が最高に好みです。後なんか精力つよそう」
「セクハラだろ! セクハラじゃないのかこれ!?」
頭が痛くなってきた。すると一連の流れを聞いていたクラスメイトの野島君が俺に向かって指差してきた。
「お前デカいのか!? 俺は20センチだぞ!」
「えぇ……」
「あと連続で五回は持つぞ!」
「聞いてないッス」
「俺のテクもすごいぞ!! 女のアレを×××して○○○で△△△で一発昇天だ!!!!」
「おい誰かコイツをここからつまみ出せ」
普段おとなしい野島君が暴走している。何が彼の琴線に触れたのか。俺には分からない。無視することにした。
「ところでグレイトさん、ダンスって何をするんだ?」
「玲子って呼んでください」
「お前ひっぱたくぞ」
「子作りしましょう」
「質問に答えろや」
「そうですね、子供は三人くらいで」
「何なんだお前」
真面目に頭が痛くなってきた。教えてくれ……俺はどうしたらいいんだ、野島君は何も答えてはくれない……
「じゃあダンスしましょうか、川島君横になって」
そう言って俺を指さす川島。
「川島って何!? 婿養子ってことか!?」
「痛くないから! むしろ気持ち良いから!!」
「なんで必死?」
とりあえず横になる俺、そうすると変態爆乳講師は俺に跨り、腰を振り始めた。
「これが、子作りダンスです。はぁ……んはぁ……」
「死ね! セクハラ講師!!」
俺は変態を蹴り飛ばした。蹴り飛ばした方向が良かったのだろう、変態は窓から飛んで行った。
「ああ、疲れた」
□ □ □
あの後、特に何事もなく放課後になった。後、野島君は正確には19センチだった。
「何だったんだアイツ……」
平和的に帰宅する。今日は疲れたのでゆっくりしよう。俺は部屋のドアを開ける。するとそこにヤツはいた。
「二回戦……やりましょう?」
「惑星に帰れや!!」
俺は大空に向かって目の前の変態を蹴り上げた。